背骨には心理的な動き、疲労などが表れているという話を、当塾では何度もしています。
これは言い換えると、その人の心の「癖」が表れているということでもあります。
ですから、専門家が背骨を見れば、その人のだいたいの性格がわかります。
「だいだい」どころか、本人が気づいていない癖とか、本人が隠している本音とか、そういったものの存在がわかることもあります。
また、背骨というのはその人の体の柱ですから、その人の姿勢とか、動き方を見ているだけでも、背骨の癖がわかることがあります。
そしてそれはすなわち、その人の姿勢や仕草を見ていると、だいたいの性格が読める、ということでもあります。
人を見かけで判断してはいけない、とよく言われますが、本当のところは「見かけ」にこそ、真の姿が現れるんです。
「体癖」の違いというのも、背骨に表れているものです。
たとえば、「左右型(腰椎2番タイプ)」と言われる、感情の動きが大きなタイプの人だと、背骨が横に曲がりやすいという特徴があります。
だから、肩の高さの左右差が他の人よりも大きいのが普通です。
「捻れ型(腰椎3番タイプ)」と言われる、闘争心の強いタイプの人だと、その名の通り背骨が捻れやすく、どちらかの肩が前に出やすい傾向があります。
それで、たとえば「左右型」の人が、自分自身の感情的な性格が嫌いで、そんな自分の性格を隠そうとしたとします。
そしてたとえば、「前後型(腰椎5番タイプ)」と言われる、感情に左右されず、合理的に物事を考えて行動する、いつも背筋を伸ばして胸を張っているようなタイプを見習ったとします。
しかし「前後型」の人は、元々がそういう姿勢を取りやすい骨格の構造をしているわけです。
だから、意識しなくても胸を張って、背筋を伸ばしているんです。
そして、意識しなくても、合理的な考え方をする癖があります。
「行動しよう」とか「感情に左右されないようにしよう」なんて意識しているわけでもないんです。
だけど、左右型の人が同じ姿勢をとり、同じ考え方、行動のしかたをしようとすると、必ず無理が生じます。
横に体が曲がるのが自然なのに、縦に真っ直ぐにしようとする、すると当然、背筋に無理な力が入ります。
胸を無理に開こうとして、必要以上に肩に力が入ります。
当然精神的にも無理をすることになります。
もちろん、社会生活を営む上では、そういった無理も必要なことは多いですが、それもやはり限度があります。
限度を超えると、心も体もバランスを崩し、壊れ始める・・・というようなことが起こってくるわけです。
「背骨はまっすぐなほうがいい」と一般的には思われているようです。
中には整体師を名乗る人までがそう思っていることがあって、驚くばかりなんですが…
だけど本当は、左右型の人なら横に曲がり、捻れ型の人なら捻れている、ある程度その歪みがあるほうが、その人がその人らしく、健康でいられるはずなんです。
もちろん、曲がり過ぎ、捻れ過ぎはよくありません。
ならばどの程度までの曲がりや捻れが許容範囲なのかというと、そこに硬直が伴っているかどうかが目安になります。
曲がりや捻れが多少あったとしても、背骨に弾力があるならば、その人の体や心の特徴(身体能力や性格)にも、幅がある、余裕があるということです。
真っすぐな「前後型」の人でも、まっすぐなまま硬直していれば、それは「感情に左右されない」というレベルを通り越して、「人の気持ちがわからない」というような冷たい鈍さになってしまいます。
いつもピンと背筋を伸ばしている人は、「姿勢がいい」とか、「行儀がいい」とか、「しっかりしていそうだ」と言われがちです。
スッと自然に背筋が伸びているのならば、それはとても理想的だと思うんです。
だけど実際には、「肩肘張っていませんか?」「自分を隠していませんか?」と声をかけたくなってしまうような、無理な背筋の張り方をしている人のほうが多いように思います。
・・・もちろん、普通はそんなふうに声をかけませんけどね(笑)
余計に肩肘を貼らせてしまい、心を閉ざしてしまいますから。
※脊椎側湾症と言われるような、極端な曲がりをしている人もいます。
特に子どもに多いのは、まだ子どもが我慢をする力自体が弱いため、真っ直ぐに背筋を伸ばして耐えることが出来ないからでしょう。
心の癖・体の癖(体癖)については『心の癖・体の癖』PDFテキストでさらに詳しく説明しています。