病める力〜季節と体・心

体と心の話

季節の変わり目には風邪をひきやすいものですね。

風邪ばかりではありませんし、季節の変わり目ばかりではありませんが、とにかく節目にひきやすいものです。

 

春には春の、冬には冬の風邪の特徴というのもあるのですが、春夏秋冬、そして梅雨といった5パターンの季節がある日本、考えてみれば忙しい話です。

気温、湿度、それから食べ物などもめまぐるしく変わる訳ですから、それに対応する私達人間の体は大したものです。

こうも変化の大きい日本という国に暮らしている私達の体は凄い、と思いませんか?

様々な環境に適応できる「弾力」を私達は持っているのです。

 

季節に応じて変わる環境に備え、私達の体の内側も変化していきます。

冬には寒さと乾燥に耐えるため、身を縮ませるように引き締まります。

夏には開放し、毛穴を広げて皮膚呼吸を盛んにします。

 

春は冬の引き締まりから夏の開放へ向けてのゆるみが始まる時期。

逆に秋は夏の開放から冬の引き締まりへと向かう時期。

そのような変化にうまく対応しきれない、一言で言えば動きが鈍くなってしまった体の人が、季節の変わり目に風邪をはじめとした症状を起こすわけです。

 

しかし、鈍いといってもまだマシなのです。

この節目の風邪をひくことで、体は次の季節のモードへと変化できるわけですから。

つまり、風邪というショックを自ら求めることで、なかなか動いてくれない鈍い体を動かそうという”力“が残っているからです。

本格的に鈍ってしまった人なら、風邪さえひけず、体の「衣替え」が出来ないままで次の季節を迎えることになります。

 

ところが近頃は世の中が便利になったせいでしょうか、体が季節に対応できていなくても、なんとか一年を過ごせます。

何か不調を感じたとしても薬を飲んだりすればなんとか生活していけるようです。

 

しかし確実にそのツケは回ってきます。

鈍くなった体を大きく変えるには、命がけの大ショックを体に与えなければいけません。

滅多に風邪をひかない人が病気になるときは、急な大病であるケースが多いのはそのせいです。

 

 

せっかく日本にはハッキリとした季節の変化があるのです。

しかも大きく分けて五つもの季節があるのです。

その様々な変化がある環境だからこそ、私達の体は弾力あるものとして育まれているのではないでしょうか。

 

春になると花粉症の人が増えますが、これも冬の引き締まりからなかなか解けることが出来ない人に起きる場合が大半です。

鼻水を出したり、クシャミを出したりして頭や背中、骨盤をゆるめていこうとしているのです。

ですから、本当は出る物はとことん出し切ったほうが良く、そのお陰で体はしなやかになっていくものです。

無理矢理止めると、やはりツケが回ってきます。

 

 

こういうことは、「心」にもそのまま当てはまります。

人生の節目には、「心の風邪」とでも言えるような、悩み、迷いなどが起こるものです。

しかしそれらのショックを通して、心も体と同じように衣替えをするのではないでしょうか。

そしてその衣替えを繰り返して、色々な環境に適応できる弾力を養っていくのでしょう。

 

だから、体の風邪にも、心の風邪にも特効薬などいらない、むしろとことん向き合って経過することで、本当の健康が得られるのではないか、と思うのです。

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