人の体には様々な「急所」と呼ばれる箇所があります。
それは東洋医学でいうツボ、経穴であったり、武術において攻撃のポイントとなる急所であったりと様々ですが、整体ではそれを「調律点」あるいは「活点」と呼びます。
その中において、体の一番端、頂上に位置するのが頭頂部の急所。
そういう場所ですから、そこには様々な意味が集約されています。
一度ていねいに、自分で頭頂部を触ってみて下さい。他の部分と違う感触がある一点があるはずです。
人によっては飛び出しているように、あるいは凹んでいて指が引っ掛かるように、頭皮がゆるんでいるように感じられるかもしれません。
その一点が急所となります。
ここは「便秘のツボ」という説もある場所です。
頭頂部をしばらく刺激していると腸が動きだし、便が出てくることがあります。
指で押さえてもいいし、トイレの壁などに頭を押し付けてもいいでしょう。
ただそこれは、一時的な効果であることがほとんどです。
頭のてっぺんですから、頭の骨の動きにも大きく影響します。
人の体は夏にゆるみ、冬に引き締まるようになっているのですが、そのため、冬には頭の骨も強く引き締まることになります。
そのピークは年末の頃。
そして年末年始頃からは、少しずつではありますが、開く傾向に移っていきます(本格的に開くのは春)。
その動きの頂点となるのが、この頭頂部です。
面白いことに、動きの悪い人は、年末の頃に頭頂部付近をどこかにぶつけることがあります。
普段はぶつけないようなところにぶつけたり、車の乗り降りの際にぶつけたり・・・
その刺激をきっかけに動きを取り戻そうと、本能が選択するのでしょう。
12月後半ぐらいになると、そういう人が増えます。
頭を使い過ぎたり、気を使い過ぎたり、神経をすり減らすようなことが続くと、頭が固くなります。
そんな時に、何となく頭を刺激したくなりませんか?
強すぎてはいけませんが、指で押さえたり軽く叩いたり、床や壁に押し付けて、気持ちよく刺激しておくのもいいでしょう。
また、この部分は、括約筋との関連が深い場所です。
従って、心臓の動きとの関連も深いわけですが、他に有名な括約筋の場所としては肛門です。
痔の時にもじっくり押さえておくとよいポイントです。
実は痔と心臓は非常に関連が深く、痔になる人は心臓に何らかの負担がかかっている人が多いです。
また、頭頂部は脱腸・胃下垂といった、腹部の内臓下垂との関連も深い場所です。
「頭を床につけて逆立ちをすると胃下垂が治る」という話もあるようですが、実際にはそれだけで簡単に治るものではありません。
ただ、もしそれが本当なら、頭頂部を刺激することが何らかの影響を与えるということでしょう。
決して、逆さまになるから胃が元の位置に戻る、という訳ではありません。
胃下垂や脱腸は、感情をぐっとこらるようなことが続いた状態の末に起こりがちです。
実は痔も同じです。
つまり、腹で堪える、「断腸の思い」が続いているということです。
そうした感情の抑圧は、頭頂部を尖らせることになり、まるで角(ツノ)のようになることがあります。
頭部の左右(頭部活点)にできる角を以前紹介しましたが、その角と、まん中に生える角は若干傾向が違います。
まん中の角が盛り上がってくると、まるで火山が噴火するかのように、感情が爆発してしまうことがあるので要注意です。
それだけ抑圧が続いていた、ということでしょう。
噴火を起こす前に、ここをしっかりゆるめておくことが重要です。