整体において、いわゆる「ツボ」のような意味を持つ急所として、特に重要な箇所を「活点(かってん)」と言います。
体の働きを活性化させる急所、喝を入れるような急所、というイメージですが、実際には「鎮静化」させる急所というような場所もあります。
その一つが「頭部活点」と呼ばれる場所で、とても重要で様々な意味を持つ急所です。
場所は両目を上に辿った線と、両耳を上に辿った線の交わるところ、左右二か所あります。
少々わかりにくいかもしれませんが、丁寧に触ってみるとその場所だけ少し凹んでいたり、溝みたいになっていて触感が違うものです。
この場所は、鬼のツノが生える場所ですね。
ツノとまではいきませんが、ここが固く盛り上がっている人も時々見かけます。
そういう時は、感情の高ぶりがある時で、この場所は感情の急所でもあるのです。
なかなか感情のコントロールをするのが苦手な人は、ここをよく押さえておく、又は気になる側を指先でしばらく叩くようにしておくといいでしょう。
ちなみに、子供はみんな感情をコントロールできないものです。
よくカンシャクを起こす子も、それから何故か色々な病気を繰り返す子にも、お母さんがよく手当て(愉気)をしておくといいでしょう。
逆に、妙に聞き分けがよすぎる、感情の統御が上手な、子供らしくない子もいます。
そういう子は無理にコントロールしているため、この場所が固く、あるいは弛みすぎになっている場合もあるのです。
我慢を強いられ続けると頭頂部が固く尖っていることもあるので、そこもチェックしておくといいでしょう。
もちろん、大人でも同じことが起こります。
稀に、この部分を抑えて愉気していると、涙がポロポロと溢れてくることがあります。押さえ込んでいた感情がゆるんでくるのでしょう。
そういう時は、一旦この場所が盛り上がってくるように動いてきます。
そして涙が流れるとともに、それがゆるんでいきます。
この部分は感情以外に、脳(神経系統)の急所ともなっています。
頭の使いすぎで疲れた時などに、この場所を押さえて「愉気」するとその疲れが弛みます。
同時に目の疲れも取れていきます。
涙が流れるということは、やはり目と関係があり、「目は口ほどに物を言う」というように、目と感情は繋がっているんですね。
その感情をグッと抑えて、言いたいことも口に出せず飲み込んでばかりいると、いつの間にか頭がカチカチになっていったり、最終的にはその感情自体が麻痺してしまう、ということにつながります。
この場所は頭の骨の繋ぎ目に位置する処ですが、頭が疲れも度をすぎると頭の骨が弛んでしまい、ブヨブヨになってしまいます。
そうなると頭がうまく働いてくれません。頭にハチマキを巻くと頭の中まで引き締まるように感じられるのはそのせいです。
頭の中が張りつめた状態の時は、頭の骨も強く引き締まっています。
神経を集中させている時などがそうで、常に神経が張りつめているような人は頭も小さく感じられ、頭部活点も固く感じられることが多いです。
他に、体の左右重心にも大きく関係しています。
誰でも左右どちらかに重心は傾いているものですが、その差が大きい人は頭部活点の固さにも大きく左右差があります。
体を横に揺らしながら歩く人などはそういう傾向がありますが、そういう傾向が強い人は、感情の揺れも比較的大きめです。
重心の差があまりに大きすぎるのは体の面でも問題がありますが、実は感情面にもそれは現れてしまいます。
そしてその両方を結びつけるのが、この頭部活点でもあるのです。