猫背にならないように背筋をよく伸ばすことは、見た目の面でも、それから精神的な面でも、そして健康を維持するためにもとても重要なことです。
ところがその背筋(胴体)につながっている手足の伸びの重要性を訴えている人を、あまり見かけたことがありません。
手足をじゅうぶんに伸ばすことができるかどうか、このことはおそらく皆さんが思っている以上に大切なことです。
試しに、両手を上にあげて「バンザイ」をしてみてください。
腕は真っ直ぐ真上まで上がるでしょうか?
少々極端な例ではありますが、写真のように斜め上までしか挙げられず、肘が曲がってしまってはいないでしょうか?
続いては開脚のポーズをとってみてください。
しっかり足を伸ばすことはできるでしょうか?
写真のように膝が曲がってしまい、足先が外に向いてしまってはいないでしょうか?
どちらの写真にも共通しているのは、背中が丸くなっている点です。
手が伸びない、足が伸びないことの原因は、背中が丸くなり、固まってしまっていることにあります。
手だけ、足だけが縮んで固まるということは滅多にありません。
ということは手足の縮み・硬直の原因は胴体にあって、その胴体の縮みが胴体だけで収まらず、手足にまではみ出てしまった状態であるということです。
つまり、かなり胴体の縮み・硬直が進行してしまった状態だというわけです。
これはかなり悪い状態です。
では、その元となっている胴体の縮みはなぜ起こるのかというと、それは内蔵の疲れであったり、精神的なストレスの影響であったりと様々です。
だから腕の縮み、足の縮みが手足だけの問題だと思って軽んじていると、実はその背後に潜んでいる内蔵の問題、脳の問題などを見逃してしまうことにもなりかねません。
この手足の縮みは、ただ伸びが悪いという形の問題だけではなく、ひどくなると痛みを引き起こします。
ちょっとしたことで腱鞘炎になったり、中には腕を酷使した覚えなど全くないのに腱鞘炎のような痛みが起こったり、肘や手首、指などが腫れるといったケースもあります。
足のほうでは、膝の痛みや足首の痛み、股関節の痛みなどといった症状として表れることがあります。
そういう場合、手だけ、足だけをいくら調べても本当の原因は見えてきませんし、足や腕のを治療をしてもなかなか良くなりません。
本当の原因は胴体のほうにあるからです。
しかし一方で、それを改善するためには、元となっている胴体部を良くしていかなければならないのは当然なんですが、やはり同時に手足もよく伸ばしていかなければならないのです。
少々ややこしい話なんですが、縮んだ胴体の影響で手足まで縮んでしまった場合、その縮んだ胴体を手足の縮みが固定させてしまっているんです。
だから胴体だけを伸ばそうとしても、縮んだ手足に引っ張られて、元の縮んだ形に戻ってしまうんです。
ですからやはり、手足は普段からよく伸ばしておかないといけないのです。
もちろんそれだけでなく、同時に胴体の伸びもよくしておかなければなりません。
福井自然体健康塾で整体の際にお教えしている体操は、必ず手足の伸びと、胴体の伸び・反りなどを連動させるような仕組みになっています。
体は本来、別々には伸びないのです。
無理矢理別々に伸ばそうとすることもできなくはないのですが、そうやって股関節だけ柔らかい、肩関節だけ柔らかくした、「一見体の柔らかそうな人」が、案外激しい腰痛や肩こりに悩んでいる例は多くあります。
一昔前のスポーツ選手や、バレエ、ヨガ等をしている人にもよく見られましたが、最近はそういう傾向も減っているように思います。