かなり前の話ですが、テレビのドキュメンタリーで、汚れた海の再生に取り組む人の特集が放送されていました。
場所は忘れましたが、どこかの湾の中なんでしょう、潮の流れも滞りがちで、汚れがかなり溜まりやすい場所でもあるようです。
そんな中、ある研究者が、海の持つ『自己再生能力』を活かそうと、海底に流れを起こすスクリューをいくつか設置しました。
水の流れをきっかけにして、海自身の持つ自浄作用を働かせようと。
決して海に薬品を撒くとか、大規模な工事をするとかではなく、海そのものの元々の姿を取り戻すために、海そのものの元々自然な力を活かそうとしたのでしょう。
しかしそれを始めたとたん、海底にたまっていたヘドロが一気に浮かび上がってきました。
そして、その海で養殖していた水産物に付着し、大変な損害を出してしまったそうなんです。
だけどその研究者は先々の結果を信じて、地元の人たちを必死に説得し、スクリューを回し続けたそうです。
そしてその結果、時間がたつ毎に海はその再生能力を発揮し、元の豊かできれいな海に戻っていったというのです。
よほど腹のすわった研究者さんなんですね。
この番組を見ていて、まさに、これは人の体と全く同じだな、と思ったんです。
人間の体の不調も、自己再生能力の滞りによって起こります。
そしてそれを改善するためには、その自己再生能力を取り戻させる「きっかけ」を与えることが必要になってきます。
当塾がおこなっている整体は、まさにそのためのものです。
決して、再生を代行するのでもなく、体のしくみを人工的に変えるものでもありません。
滞った「流れ」をよくする、そのきっかけとして行われるものです。
そしてその汚れを浄化していくためには、一旦、底に溜まっていた汚れを掘り起こし、表に出さなければなりません。
整体を受けると、風邪をひいたり、下痢や出血があったり、あるいは古傷が痛み出したりするのは、そういうことなんです。
そうした一時的な反応を恐れて、まるで海水の表面だけを取るような処置をしたのでは、いつまでも汚れが溜まり続けてしまいます。
そしてやがて、「自己再生能力」ではとても処理しきれないようになります。
さらには海底どころか、海面にまで・・・つまり体の表面にまで、はっきりと汚れが顔を出してきます。
これが本格的な「病気」の姿です。
浄化のために表面化したものとは違って、海底にスクリューを置くようなレベルの処置では、とても間に合いません。
こうしたメカニズムは、『心』においても全く同じことが言えるでしょう。
私達の心にも、自己再生能力があり、自然治癒力があります。
だけどその働きは、自分の中の「汚れ」を一旦浮き上がらせる働きでもあります。
自分の中の弱さとか、悲しみとか、古傷とか・・・
そういった自分の姿と、一旦向き合うことで浄化されていくわけです。
時には痛みが伴いますが、それは下痢の時の腹痛や、毒を吐き出す時の胃の痛みのようなものです。
自己再生能力は、常に「流れ」の中で発揮されます。
動かさない体、変化を拒む心には、「流れ」が起きません。
ベッドに横たわっていても、それは働きません。
海も、体も、心も、波があることによってそれは働きます。
そして時には、荒波もいい刺激になります。
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