仕事として整体をやっている以上、多くの人に受けていただきたい、来て頂きたいと思うし、ホームページやfacebookなどもそのためのアピールの一環です。
だけど、そんな場でも、どうしても使う気になれない言葉というのがあります。
それは、「お気軽にお越し下さい」という言葉。
気軽に来て欲しくないというよりは、気軽に考えないで頂きたいと思うんです、ご自分の体や心のことを。
というよりも、心身は「気軽」では変わらないです、ほんとに。
たとえば腰痛であれ、頭痛であれ、高血圧であれ、なかなかよくならない慢性的な症状というのは、必ずその背後に別の原因、長期間に渡る心身への負担があります。
よくある例を挙げると、暴飲暴食で肝臓が疲れていたとします。
それが腰痛の元になっていることは非常に多いわけです。
そういう場合の腰痛っていうのは、根本的に良くしていこうと思ったら、肝臓をよくしていかなければなりません。
そのため、最も大事なのはウコンを摂ることではなく、まず肝臓に負担をかけないようにして休めることです。
ちなみに、特に肝臓というのは、元々丈夫な臓器です。
丈夫であるせいで、ある程度の疲れぐらいは無視して働き続けてしまいます。
そのかわり、他の部分がそのツケを払う事になってしまいます。
肌が荒れてきたり、関節が痛くなってきたり、頭痛がしたり、目がおかしくなってきたり・・・こういう症状も肝臓が原因であることは多いんですが、当の肝臓自身は平気なフリで動いていたりする。
職場の健康診断もスルリとすり抜けて丈夫なフリをしたりする、そんな臓器です。
それで、そんな肝臓のせいで色々な症状が出ているということは、実はかなり長期間にわたって負担をかけてきている、ということなんです。
数年から数十年、負担をかけるような生活をしてきている場合が多いです。
その負担は、とても「一週間ほど暴飲暴食をやめれば取れる」というものではないんです。
「どれくらい我慢をすればいいんですか?」と聞いてくる人もいますが、その質問の裏には、「ある程度我慢したら、また暴飲暴食をしてもいいの?」という思いがあるわけです。
しかしそれでは、すぐに後戻りです。
実際のところは、早くて一週間目ぐらいから摂生の成果が出てくる場合があります。
でもその成果というのは、異常がボーダーラインを超えて、症状として「はみ出てしまった部分」が、少し引っ込んだ程度なんです。
激しい痛みというのは実は反応がいいものですから、減食や禁酒をして、それで整体でも受ければすぐに感じなくなってしまうことが多いです。
ところが、その「はみ出てしまった部分」というのは新芽みたいなもので、すぐにもぎ取ることができてしまうものなんです。
その下には、いつでも次の芽が出せるように長くて頑丈な根が潜んでいるのです。
まぁ、次に出て来た芽も、すぐにもぎ取ってやればいいかもしれません。
だけど何度ももぎ取られていると、今度は芽のほうが丈夫になってしまって、簡単にはもぎ取られないような芽を出すようになってきます。
何度も繰り返す症状というのは、繰り返す度に重くなっていくものですが、つまりこういう仕組みになっているわけです。
根のほうから良くしていくためには、そのような表面的な、一時的な向き合い方ではとても追いつきません。
どんなに技術力のある整体や強力な薬で押さえようとしても、体のほうはあの手この手で新しく頑丈な芽を出してきます。
なぜなら、体は自分の体の中で起こっている問題にちゃんと気づいて欲しいからです。
どれだけ長い間自分の体や心に負担をかけ、それを無視し続けてきたか、そのことを訴えるために体は強力な新芽を送り出しているんです。
それを気軽に扱われたのでは困るんです。
・・・私が困るんじゃないですよ、ご本人が困るんです。
その体の声を、客観的な立場から聞くお手伝いをするのが本当の整体だと思います。
「背骨が曲がっています」「骨盤が歪んでいます」「筋肉の炎症ですね」「カルシウムが足りませんね」・・・・
体が聞いて欲しがっている声は、そんなものじゃありません。