先日の『整体講座』の前半では、整体的な体の観察法の実習をしました。
一番分かりやすいところでは、肩の高さの左右差とか、首の傾きとか、立ったときの足先の向き、座ったときの膝の角度...など、見た目ですぐにわかる「歪み」などがあります。
これらは誰でもちょっと意識して観察すればすぐにわかるポイントである反面、あくまでそれらは表に現れた「現象」にすぎなくて、「原因」ではないんですね。
だから、整体院のチラシなどで、肩の高さや足の長さの違い=背骨の歪み=万病の元・・・的な表現がされている場合がありますが、実際はそれは表面的な話で、本当はもっともっと深く切り込んで見ていかなければならないんです。
ただ、こうした表面的な観察は、もちろんディープな観察の入り口となるわけで、私もこれは結構訓練しました。
道行く人の歩き方とか、本屋さんで立ち読みしている人の姿勢とか、あとは当塾に来られる人の様子を見ながら、様々な体の状態と姿勢の関係、表情や仕草・体型と性格・心理面の関係・・・などが、少しずつ見えてきたような気がします。
もちろん、いつも言うことですが「体癖論」を知ったこととか、それから当然様々な先生方に教わったことがベースとなってのことですから、やっぱりそういう基礎は大事なんだと思います。
私も出来る限り、今後色々とお教えしていければと思います。
ところで、この体の観察というのは、相手の「素」の状態を見なければいけないものです。
「今から体をチェックしますよ〜」とか、「歪みがないか、確認しますよ〜」という前提の元で体を見ようとしても、相手は無意識のうちに体に力を入れてしまうものです。
「自然に、リラックスしてくださいね」と言っても無駄、やっぱりどうしても「歪んでいる」なんて思われたくないもので、つい余計な力が体に入ってしまうことは避けられません。
なので、意識していない状態で見なければならないという条件があります。
だから実際には、「チェックしますよ〜」と言うその前に、挨拶をしている段階である程度体を見ておくとか、逆にチェックし終わったふりをして、その後に本当のチェックをするとか、相手に「隙」を作らせて観察しないといけません。
そういう意味では、普通は町中で人を観察する時とか、家の中でくつろいでいる家族の体を観察する時なんていうのは、みんな隙だらけですから問題ありません。
だけど、体を本格的にチェックしないといけないプロの整体とか、療術の現場となると、やはりそういう隙を突くということを意識しないといけないわけです。
相手には出来るだけ隙を作らせておいて、そしてこちらは気づかれないように常に集中して相手を見ている、と。
よく治療院の広告などで、ビフォー/アフターの写真がありますよね。
ああいった写真を撮られている時というのは、隙のない、緊張状態であることがほとんどです。
特にアフターの写真となると、やはり背筋を意識的に伸ばしたり、明るい表情をしたりということを無意識にしてしまうものです。
本人は自然体のつもりでも、見る人が見れば、不自然に力が入っていることがバレバレ。
なので、あまりあてにならないことが多いのですが・・・。
あまりネタばらしをすると隙が出来なくなってしまうのでホドホドにしたいとは思いますが、先日の教室でも行った一つの方法は、『靴の観察』です。
靴の減り方や型くずれのしかたにはその人の体の癖が現れるものですが、「脱ぎ方」からもいろんな特徴が見てとれます。
両方が真っ直ぐに揃った状態で脱いである人はほとんどいなくて、大体どちらかが前に出ているか、斜めになっています。
極端な人だと、靴が重なっていることもあります。
また更に、きれいに揃えて脱ごうとしたか、それとも全く足下を意識しないでササッと脱いだか、こういった点からもまたその人の心理状況などが読み取れます。
脱ぐ場所・・・端っこのほうで脱ぐ人、あるいは玄関の外側近くで脱ぐ人…など、そうした細かな点にもその人らしさが現れていて、とても面白いです。