先日、産後間もない人から、ある健康指導者に「玄米と野菜以外は食べちゃダメ」と指導をされた、という人の話を聞きました。
こういう話を聞くのはもう何度目でしょう・・・
ちなみにそれらは、指導を受けた側の人からの苦情・相談として聞いたものです。
私達人間の体は、草食動物の体とは違うのです。
人間は牛のように、草だけを食べて、血や肉を作るような消化器を持っているわけではありません。
胃が四つもあるわけじゃないし、朝から晩まで食べてばかりいるわけでもない。
「日本人は腸が長いから」なんていう説も間違いだそうです。
個人差はあるけれど、人種による差は大してありません。
あったとしても、草食と肉食を分けるほどの違いがあるわけでもない。
これ以上体が成長せず、あまり重労働をしないような年齢に達した人なら、野菜と穀類だけでも充分でしょう。
だけど、命の源となる母乳を大量に体内で作っているような母親の体が、それだけで保てるはずがないのです。
保てたとしても、ギリギリです。
もちろん赤ちゃんにも悪影響があります。
「昔ながら」の日本人の食事がいい、だから野菜と玄米だなんていうけれど、昔は多くの子どもが幼いうちに亡くなってしまったでしょう?
ともかくそんな理屈よりも、実践した人が痩せ細り、頭がフラフラしだし、体調を崩してしまっているという事実が全てを物語っています。
そして、それに我慢が出来ず、その指導を無視して、食べたいものを食べ始めたときから回復が始まっています。
でも、その指導者から見れば、その痩せ細り、ふらついた体を見てもなお、「今までの悪い食生活の影響だ」とか、「好転反応だ」などということを言うのかもしれません。
これじゃぁ、既に死んでいる人をみて「まだ魂が抜けていない」と言ってミイラ化した遺体を保存しているカルト宗教と同じじゃないですか・・・。
人の健康を指導する人にとって一番大事なことは、その人そのものを見る、その人の体の声を聞く、ということではないでしょうか。
そこに答えがあるはずです。そこにしかありません。
その指導者の人は、自分が習った通りのことを、その人に言っただけなんでしょう。
だけど、その人を見ていない。
相手が誰であろうと、同じ事を言ったのでしょう。
自分が教わり、自分が信じた理論を押し付けているにすぎません。
だから、相手の体が痩せ細り、悲鳴をあげていたとしても、全くそのありのままの姿が見えなくなっているのです。
そんな人に、体を預けていいんでしょうか?
ついでに言うなら、臼歯は穀物をすりつぶすためだけにあるのではなく、門歯は野菜を噛む切るためだけにあるのではありません。
犬歯が4本しかないからと言って、肉魚類を一割しか食べちゃいけないなんていうのは、頭でっかちの人が計算した理屈の上だけの話です。
命というのは、そんな理屈で語れるものじゃありません。
体の訴えを聞く事もできない人が、頭に詰め込んだ理屈だけで人の体のことを指導するなんて、もってのほかだと私は思います。
どうぞ皆さん、気をつけてください。
そしてしっかり、ご自身の体の声を聞いてください。