夏の汗と後頭部の温湿布

体と心の話

夏になると思い出すのは、「後頭部の温湿布」の話です。

整体の世界でよく勧められているのですが、濡らしたタオルを熱くした「蒸しタオル」で、「ぼんのくぼ」とと呼ばれる後頭部の窪みのところを温める、というものです。

 

例えば、エアコンで体が冷えてしまった時などにここを温めると、その悪影響が取れるとされています。

特に背中から冷たい風を浴びたときなどには有効です。

しばらく繰り返していると、ジワジワと汗が出始めて、固まった体が解けるような、そして引っ込んだ汗がしっかり出てくれるような感覚があります。

 

私はこれを、かつてある人に「夏は毎朝やるといい」と教わったことがあります。

夏は寝ている間に汗をたくさんかきます。

特に首にや頭に汗をかき、それが髪をぬらし、明け方に冷えて内攻するので、首が硬直してしまうので、朝起きたらまず後頭部を温めたほうがいい、という理論です。

 

しかし、その後何年も経ち、経験を重ねる中で、これにはいくつか問題点があるように今は思っています。

 

まず、寝汗を大量にかくような日は、夜中や明け方も暑い場合が多いです。

そして朝起きた時も暑くて、そんな時にさらに後頭部を温めるのは余分であることも多いように思います。

のぼせたような状態になってしまいます。

エアコンなどで首が冷えた、頭が冷えたと感じるような場合には有効ですが、「夏だから毎朝これをやる」というのはお勧めできません。

もし、私と同じようにそのようなことを習ったという方は、ご注意ください。

 

これが、明け方には急に冷え込むような山間部とか、秋の頃とかになると少しだけ話は別です。

ただそういう時期は、さほど寝汗もかかないので、頭が特に冷えるということも少ないかと思います。

寝冷えの際には、頭よりも足を温める「足湯」のほうがいいでしょう。

また、そのような季節の寝冷えを防ぐためには、寝る直前に風呂に入らないようにすることです。

入浴後はしばらく体が火照っていますから、それが完全に冷めてから寝るようにしたほうがいいです。

 

ただ逆に、後頭部を積極的に冷やすというのは、やはり良くないのです。

冷やし続けると体が収縮しますし、特に首の収縮は頭の働きを鈍らせる元にもなります。

身体感覚も鈍りますし、暑さ寒さに対する体の反応も鈍ってしまい、悪循環に陥りかねません。

 

なので、暑いからといって水枕などを使って眠るのは本当によくありません。

暑過ぎる場合はエアコンを弱くかけて部屋全体の温度を下げるなりの工夫をするようにして、決して体の一部だけを冷やし続けることのないようにしましょう。

 

特に後頭部はよくありません。

日中動いている間も、あまり積極的には冷やさない方がいい場所です。

暑くてのぼせそうな時は、前頭部を冷やしたほうがスッキリする場合が多いです。

水で顔を洗うとスッキリするでしょう。

普段から、扇風機やエアコンの風が後頭部、首に当たり続けるような環境はできるだけ避けるほうがいいです。

どうしても避けられなかった場合には、後で温湿布で後頭部を温めておけばいいのです。

 

さらに、「後頭部の温湿布」は、風邪をひいた時の発熱の際にも勧められています。

熱の上がり際に温めると良い、とされていますが、これも注意が必要です。

上がりそうで上がらない、上がるとスカッとするのに…という状態の時に、これは有効なのです。

既に高熱が出ている時には、あえて温めてはいけません。

体にまかせて出させておいたほうがいいです。

 

また、上がりそうで上がらない時に温めても、結局熱が上がらない場合もあります。

20分前後温めても変化がみられない場合は、体がそれ以上熱を出す状態ではないということですから、無理して温め続ける必要はありません。

却って負担をかけることにもなりかねません。

こういった方法は指導者の言ったこと、本に書いてあることを鵜呑みにして盲信するのではなくて、体と相談しながら、様子をみて慎重に取り組むことが必要ですね。

もしくは、信頼できる指導者に直接みてもらいながら実践することが重要です。

 

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