先日、腰にゴム製のベルトを巻いた方が来られまして、どうやらよその「整体院」の指示で、骨盤の歪みを矯正するためにしているのだそうです。
整体の際に邪魔になるので外してもらったところ、結構丈夫なゴムで出来ていて、かなり強めの力で縛るような造りになっています。
だけど「歪みを治す」ためのベルトだという割には、ただ単に腰全体を締めるだけの単純な構造です。
歪み矯正というからには、たとえば右が下がっているから左よりも上げる方向に縛るとか、そんなふうになっているのかと思いきや、全然そうではありません。
締める強さの調節が2〜3段階でできる程度で、個人個人に合わせて角度を変えるとか、そのような造りにはなっていないのです。
まぁ、なっていたところで、それで矯正出来るものとも私は思っていませんが・・・
逆に、そういうもので強く縛ることで動きはさらに悪くなるわけで、要するに固まってしまうわけです。
しかも、そのベルトの力で体を支えているわけだから、腰の力は弱まるばかり。
ただ一番問題なのは、「骨盤の歪み」と一口に言っても、そのほとんどが骨盤だけの問題ではない、ということです。
だから骨盤を細かく矯正できるベルトが仮にあったとしても、根本的な解決には至りません。
そればかりか、全身の様々な歪みを骨盤が受け止めた結果骨盤が歪んでいるわけで、その骨盤をベルトで締めて固めていれば、こんどはどこか別の場所が受け止めなければなりません。
多くの場合は、股関節がその犠牲になります。
次候補が膝。
でも本当は骨盤が歪んでいる時点で、既に体全体には長期間に渡る様々な疲労が蓄積されているんです。
もっと全体を見て、時間をかけてそれを修正していかなければならない状態なんです。
ところでこの方の場合、骨盤の歪みというよりも、右上半身のある場所にすごく力がかかっていて、それで体が捻れ現象を起こし、それが長い月日を経て、腰・骨盤部にまで捻れが達してしまった・・・という経過をたどっています。
この右上半身の問題は、プロなら当然、ちょっと見ただけで分かるようなものでしょう。
当塾の講座に出た人でも、判別出来るはず。
モデルになって頂きたかったくらいです。
なのに、そのベルト着用を指示した整体院では、ただ「骨盤の歪み」ということで処理されているわけですね。
もう呆れて言葉も出ません・・・
実はご本人も、その上半身の異常箇所に痛みを感じることが度々ある、ということなんです。
だけど骨盤とは何か関係があるなんて思ってもいなかったそうなのです。
そういう、本人でさえわからない、思ってもいなかった事実を指摘するのが、本来プロの役割だと思うんですよ。
そんなにレベルの低い整体院に通って、一生懸命そこの「先生」の言うことに従っていたその人のことが不憫でなりません。
実はこういうこと、度々あるんです。
気をつけてもらいたいけど、一般の人には気をつけようもないというのも事実。
悲しい限りですが、これも現実です。