「言葉の暴力」という表現がありますが、実際の殴る・蹴るなどといった暴力よりも、言葉の暴力はタチが悪い場合があります。
その殴られたり蹴られたりという暴力でさえ、実はその痛み自体よりも、殴られたことによる心理的なショックのほうが強いのではないでしょうか。
殴られた痛みや傷というのは、時間が経てば放っておいても治っていきます。
しかし恐怖心や精神的ショックなどはずっと残ります。
さて、そこまで大げさな話ではないかもしれませんが、当塾に来られる人たちから、治療院・病院などで言われたショックな言葉について聞く事が度々あります。
もちろんそのほとんどは、決して治療家や医師が悪気があって放った言葉ではありません。
よかれと思って言った言葉だったり、何気なく淡々と言った言葉にすぎないのかもしれません。
しかし、悩みを抱えて来訪し、その相手に身体を委ねているときというのは、普段以上に心が受け身になっているものなんです。
そういう時に放つ言葉というのは、普段以上に心に深く染み込んでいく傾向があります。
そんな時に、不用意にネガティブなことを言えば、普段以上にそのネガティブな考えが心に染み込んでしまいます。
そして染み込んだ言葉は、心の中で何倍にも広がっていってしまいます。
澄んだ水に垂らした絵の具のようなもので、一瞬でその色に染まってしまうのです。
染まるのは一瞬だけど、元に戻すのは大変です。
奇麗な水を注ぎ足していきながら、根気よく元の澄んだ水に戻していく作業を繰り返さなければなりません。
バケツの水のように一気に捨てて、勢い良く新しい水を・・・というわけにはいかないのです。
当塾の講座でも、これは度々お伝えしていることです。
整体等の指導(施術)をしている時には、単に手による技術だけではなく、言葉がけや呼吸を合わせることなどによる「同調」「関係性の構築」という技術が必要になってきます。
(「愉気」という概念はそういう意味を持っているものです。)
医師ならば医療技術、セラピストならそのセラピーの技術と同じくらい、その技術は大事なものであり、相手の心身に影響を与えるものだと思ったほうがいいでしょう。
その代表的なものとして、相手の体を観察・確認している時に、絶対にやってはいけないこと、というのがありますので一つ紹介します。
それは、体を触った時に、「あっ!ここが固い!」「おぉっ!これはひどい」「うわぁ、凝ってますよ!」などと声をあげることです。
特にビックリしたように、あるいはしみじみと「これはひどい」みたいな言い方をされると、受け手の人はとても怯えるのです。
なぜなら、今身を任せているセラピストの人をビックリさせる程、自分の体はひどいのか?と思ってしまうからです。
しかも、プロのセラピストがビックリしているということは、そのセラピストの手にも負えない程ひどい状態なんだ、と感じてしまうわけです。
しかし、こういうことは、案外サラッと言ってしまいがちな言葉ではないでしょうか。
悪い場所を見つけて得意になって、「お!凝ってますね」などと言ってしまう場合があるのです。
初心者のセラピストなどによくある過ちです。
もし、あえて悪い所を指摘するのなら、これもやはり技術がいるのです。
「悪いところを見つけてもらった、ここを改善すれば大丈夫なのかも」と思わせるような言い方です。
もちろんそれは、単に口先の言い方の工夫だけではなくて、見通しを立てる観察力、そして相手の体の力を信頼する余裕や信念が実際にあってこそ、のことです。
※整体法講座にて、こういったこともお教えしています。
実際の方法は文章では説明しにくい面も多いので、できるだけこういう「極意」は直接学ばれることをお勧めします。
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