奇跡の◯◯

私は普段、体操をお教えしたり、心の用い方をアドバイスしたりもすることが多いわけですが、そんな中、

「わかってはいるんですけどねぇ…」

と言いながら拒否されることが、今までに本当に多くありました。

 

「わかってはいるんだけど、なかなか忙しくて…」

「わかってはいるんだけど、なかなか実行できなくて…」

というように。

 

そう仰る気持ちも、重々わかるんです。

何もかも、言われた通りにきちんと出来るものでもありませんしね。

 

だから、そういう人には、「できる所からやりましょうよ」と勧めます。

 

だけど時々、やってみようともしないで、いきなり最初から拒否してしまう人もいます。

あるいは、ほんの触りの部分だけやってみて、すぐに「出来ない」と判断してしまう人。

・・・まるで、「出来ない」ことを証明するために、触りだけやってみているようにも見えます。

わざと「出来ない」ようなやり方でやっている人もいます。

 

どうやらそういう人は、そういう「癖」がついてしまっているようです。

出来ない自分を見せる癖です。

それは、出来ない自分、つまり「自分の弱さ」をアピールする癖、ということもできます。

 

わざわざ弱い自分をアピールするのには、理由があります。

それは、

「無理なら、仕方ないですね・・・では、かわいそうなので、
 あなたにだけ特別に、とっておきの○○と、奇跡の□□を・・・」

 

そう言ってもらえることを、密かに願っているからです。

そういう自分が、自分の心の裏側にいるんです。

 

弱さというのは、好条件を引き出すための強力なアイテムになります。

悪条件から逃れるためのアイテムにもなります。

そして、周りの人たちから優しくしてもらうためのアイテムにもなります。

 

そういう癖がついている人は、「出来ないんです」と顔を覆いながら、指の隙間から、相手を見つめています。

そして、相手の口が開くのを、物欲しそうな、独特の目線で見つめて待っています。

お恥ずかしながら、私自身がそういう人間でもありましたから(笑)、よく分かります。

 

 

それは心の裏側にある心だから、自分でも見えないかもしれません。

だから、誰かに指摘されたり、何かのショックがきっかけにならないと、見えてこないものです。

 

そしてそれは見せたくない部分ですし、指摘されたくない部分です。

だから誰かに指摘されると、もの凄く腹が立ちます。

だけど、その腹立たしさもまた、そんな自分を隠したいからです。

言い換えると、「いつまでも弱い自分でいたいから」なんです。

 

逆に言えば、誰かに腹立たしいことを言われたり、ショックな出来事があった時こそ、そんな自分に目を向けるきっかけだということです。

 

弱さをアピールすることが癖になっていると、自分が強くなること、元気になること、成功すること、これらを無意識のうちに拒むようになってしまいます。

強くなる、元気になるということは、「弱さ」というアイテムを手放すことになるからです。

 

だからそういう人は、夢が叶いにくいし、病気もなかなか治らない、揉め事もなかなか解決しません。

むしろ、悪いことばかり引き寄せるようになってしまいます。

 

弱い自分でいるためには、「出来ること」があっては困ります。

だから、出来ることを探されると困るのです。

それでつい、相手がアドバイスを言い終えるのに被せるように、「そうは言ってもねぇ・・・」と、見事な瞬発力で返してしまいます。

 

繰り返しますが、これは心の裏側にある、無意識の癖です。

 

表面では「強くなりたい」「成功したい」「元気になりたい」と思っていても、裏側のこの癖が強いと、いつまでも足を引っ張り続けます。

 

さらに進行すると、表側の意思さえも蝕んでいきます。

そういう人は、表面上でも悪態ばかりついています。

成功者の悪口、元気な人への妬み、愚痴・・・。

 

 

裏側の癖を直すには、日の当たらない「闇」である裏側を、光で照らして白昼にさらす必要があります。

無意識の癖に意識の光を当てて、自覚することです。

これはとてもつらいことですが、自分の中に、「弱さをアピールする自分」がいないかどうか、意識的にサーチライトを当てるんです。

 

それが、シラミをつぶすような地道な作業であっても、少しずつ、その癖を辞めていくこと、そしてそれこそ「できることをやる」ということ・・・

そういう一見「当たり前」のような方法しか、本当はないんじゃないかと思うんです。

 

本当はそれこそが、「とっておきの○○」や、「奇跡の□□」なんじゃないか、と思うんです。

 

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