何か心配なことが起こった時に、胸がドキドキすると同時に、お腹の上のほうがキューっと締め付けられるような、痛くなるような経験はありませんか?
急な心配事で胃が痛くなる、というのも同じようなことで、そんな時にはこの部分が硬くなるという現象が起こります。
自覚症状がないというケースも多くありますが、何らかの不安を抱えている人というのは、たいがいこの部分が硬くなっています。
「季肋部(きろくぶ)」と言われる部分で、ろっ骨の最下部のすぐ下の部分です。
そして主に(というかほとんどの場合)、左側にその現象が起こります。
図の3番のところにあたります。
ただ、範囲が1番、4番あたりまで広がる場合もあります。
この部位は、整体では昔から「感情活点」と呼ばれてきた場所でもあります。
その名の通り、感情の状態が現れる場所です(活点というのは、急所、ツボ、みたいな意味だと思ってください)。
感情が高ぶった状態、つまり興奮状態にある時というのは、ここが硬くなっているのです。
心臓の近くで太い血管も通っていますから、強く脈打っていることがあります。
そんな時にこの部分を押さえてみると、不快な圧迫感があったり、中には突き刺すような痛みや、気持ち悪さを感じることもあります。
そのような時は決して無理に押さえてはいけないのですが、呼吸にあわせてそっと包み込むように抑える、あるいは手を当てて「愉気」をすることで、少しばかり落ち着いてくることがあります。
当然、不安材料や心配事自体が解決するわけではないですから、完全に安心できるわけではありませんが、少し冷静になることはできるでしょう。
感情が高ぶっている、不安を抱えているという自覚がないという人でも、ここが硬くなっているという人は多くいます。
そういう人は、その不安や様々な感情を内に秘めている人です。
誰でも多少は内に秘めた感情というものを持っていますが、あまりに日々我慢しすぎて、硬く閉じ込めてしまっている人もいるのです。
そういう人も、この部分をゆるめていくことで、少しずつ吐き出せるようになってくることがあります。
ただし、痛かったり気持ち悪かったりするほどに押さえて刺激してしまうと、余計に感情が高ぶってしまうことがあります。
荒療治的に、感情の吐出を誘導するためにそのようなことをするという方法もあるのですが、基本的には無理に刺激しないほうが無難です。
とにかくこの部分が固そうな、感情が乱れている、あるいはぐっとこらえているような状態の場合は、そっとこの部分に手を当ててゆるめてあげるのが一番いいでしょう。
もちろん自分で手を当てて、少し呼吸を整えるようにしてもいいです。
ちなみにこの部分は、心臓とも大きく関連する場所です。
不安な時は心臓がバクバクしますが、そういう時もここが硬くなっています。
不整脈等の問題がある人も、ここが硬くなっています。
また、帯状疱疹の症状が出やすい場所もこの左季肋部です。
帯状疱疹はかなりストレスとの関連が深いですが、この場所に出るというのも、やはり何かしらの感情の乱れと関連しているはずです。
冒頭にも少し書きましたが、胃痛、食欲不振などといった症状も、ここと関係があります。実際胃がある場所でもありますが、ほとんどの胃の症状はストレスによるものですので、やはり感情と関係があるのです。