「人生を変えた一言」とかいうやつがありますよね。
私は個人的に、そういうのがあまり好きではなくて・・・というのは、なかな一言で人生って変わらないものですよ。
いや、「私の人生を変えたのはこの一言です!」っていうのを持っている人も大勢いますけど、よくその人を観察していると、実は大して変わっていない場合もけっこうあります。
ちょっとキツい言い方をさせてもらえば、その一言に酔っているだけだったり・・・
さらにキツい言い方をすると、その一言を利用して、自分が変わったことにしている人もいるわけです。
「座右の銘」なんていうのも、そうでしょう。
立派な座右の銘を持っていることで、まるで自分が立派であるかのように見えてくる。
意味深げな「人生を変えた一言」を持っていることで、自分の人生が豊かになったかのように思えてくる。
・・・そんなひねくれたことを言っている私にも、実は、「人生を変えた」わけではないけれど、大きく刺激を受けた一言というのがあります。
何か一つ吹っ切れたような、今でも心に残っている一言です。
それは、随分前に、心理セラピーを受けていた時のことでした。
業界ではかなり名の通っているはずの、男性セラピストでした。
限られた時間の中ではありましたが、私は彼にいくつか自分が抱えている問題、悩みを話しました。
しかし実は、複数抱えている問題も、根っこは一つである場合が多いです。
それを一言でまとめてしまうと、大抵の場合は、「ずっと自分に嘘をつき続けていること」が原因なんです。
まぁ、それこそ「一言」でまとめてしまえるような軽いものではないんですが、説明上、一言にするとそんな感じです。
本当の自分ではない自分の姿で生きているとか、人の目ばかり気にして自分を偽っているとか...
いろんな表現が出来るかとは思うんですが、簡単に言えばそういうこと。
セラピーの時間に制約があるという理由もあってか、そのセラピストは鋭く切り込んできました。
「あなたは、本当にやりたいことをやってないでしょう!?」
「仮面をかぶって生きているんですよ」
そんな意味の言葉をぶつけてきました。
(実際のにはそんなベタな言葉ではなく、もうちょっと違う言い回しでしたが。)
私は少したじろぎましたが、
「自分で興味を持って選んだ仕事をしているし、やりがいもあるし・・・」
と、できるだけ落ち着いて答えました。
しかしセラピストは手をゆるめませんでした。
「本当に自分が好きなことってなんですか?言えますか?」
少し厳しい口調でたたみ掛けてきました。
私は言葉につまり、会話に空白が生まれました。
すると、「ほら、言えないでしょう」とまた厳しい口調で一言。
私はさらに、たじろぎました。
セラピストの波状攻撃にたじろいだというのもありますが、それ以上に、即答できない自分がショックでもあったのです。
そしてその直後にセラピストが放った一言に、私はパニックに陥ってしまったのです。
その一言は・・・
「あ、ちなみに、僕はフーゾクが好きなんですけどね・・・」
パニックというか、あっけにとられたというか、その時私はどうリアクションをしていいのかわからずに、固まってしまったのです。
結局、その他にどんな話をしたのか、今となってはよく覚えていないんですが、この「フーゾク」発言だけがくっきりと記憶に残っているんです。
「これは会話のテクニックとして、わざと奇をてらうようなことを言ったんじゃないかな?」という疑いも持ったのですが、かなり具体的なことも言っていたようだったので…フーゾクが好きなこと自体は本当なんでしょう(笑)
もちろん、この一言を言うまでの流れは、セラピストの『テクニック』に基づいたものだったとは思うんです。
だけどとにかく私はその後、「うらやましいな」というような気分になったんです。
・・・いや、風俗通いのことが、じゃないですよ!
そういうことを、ケロッと言えちゃうことが、です。
私はといえば、「自分で選んだ仕事を・・・」なんていう、型通りのかっこ付けたような答えを、頭の中で言葉を選びながら出していたわけです。
もちろん、本当にやりたいことが、「自分で選んだこの仕事だ」と断言できるのなら素晴らしいことです。
「○○の仕事を通して、多くの人を笑顔にしたいです」
「毎日家族とともに過ごせるだけで、本当に幸せです」
それが本当に自分の心の底から出て来た理想として、躊躇なく言葉に出せるのならば、本当に素晴らしいと思うんです。
でも、本音でそれを言える人って、おそらく「セラピー」なんていうものは必要のない人なんですよ。
そのまま、やりたいようにやっていけばそれで幸せなはずですから。
だけど、そんな「模範解答」を言うような人の大半が、実は自分の奥にある本当の欲求・・・しかも「低俗」と言われかねないような欲求にとことん蓋をし続けてきた人なんだと思うんです。
人に褒められるような、周りの人に認められるような欲求にすりかえてきた人です。
すり替えてきたことさえ、もう自分でわからなくなっている人です。
そういう人が言う、「私の人生を変えた一言」や「座右の銘」も、模範解答的なものでしかないんです。
すり替えにすり替えを重ねていくと、本当の自分とのギャップがどんどん大きくなってしまいます。
その積み重ねの結果、体・心・生活に様々な歪みが出て来るわけです。
だから、そういう歪みが出て来た時こそ、自分の奥底にある、本当の本当の欲求に耳を傾けていくように方向付けていく必要があるんです。
それはとてもくだらない、周りの人があきれるような欲求かもしれません。
それこそ、「風俗に行きたい」とか「お金が欲しい」とか(笑)
・・・というわけで、私自身の「人生を変えた一言」を挙げるとしたら、
「僕はフーゾクが好きなんです」
という言葉になるわけですね(笑)
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