整体をやっている人には、西洋医学に批判的な考えを持っている人が多いです。
整体に限りませんが、東洋医学、民間療法、自然食、その他様々な健康法の関係者からサプリ、健康食品の販売者まで・・・
現代医療を強く批判する人はとても多いし、同じく使命感を持っている人も多いと思うのですが、ただ、中には自分のやっている療法や、自分の扱っている商品の価値を高める為に、せっせと医者の悪口を言っている人もよくみかけます。
だから、この点は本当に注意が必要だと思うんですね。
でもその悪口を一生懸命言っている側の人は、「悪口を言っている」なんていう自覚はない場合がほとんどなのでしょう。
むしろ、自分は正しいことを言っているつもりなんだと思うのです。
でもそういう人こそ、必死なんです。
自分の株を上げる為に言う悪口は必死です。
だから熱く、激しく、中には恫喝するかのような口調で、反論の隙を与えない人もいます。
いや、もしかしたら、自分自身にも疑う余地を与えないために、一生懸命に理論武装しているのかもしれませんね。
私自身も、現代医療に対して批判的な発言をすることはよくあります。
だけどその一方で、病院に行くことを勧めることも度々あります。
また、その人自身には「自然な経過」をすすめておきながら、その人の家族の症状に関しては、病院に連れて行ってあげることを勧める・・・という、一見矛盾したような態度を取ることも少なくありません。
ありがちな話なんですが、たとえば奥さんが毎日ある健康法に夢中になっていて、西洋医学に疑問を持っているとします。
そんな中、ご主人の様子がおかしくなり、血を吐いて倒れたとします。
ご主人は恐さと苦しさで、すぐにでも病院で処置をしてもらいたがっています。
しかし奥さんが「病院に行くと薬漬けにされる」「検査だけでも放射線を浴びてしまう」・・・と拒んでしまう・・・
この場合、ご主人は体が苦しいばかりではなく、その苦しさや恐怖心さえ無視されたような、心理的な傷も多く残るのです。
大人同士だったら文句を言うなり、夫婦喧嘩にでも発展すればその傷も少しは癒えますが、子どもの場合はそうもいきません。
やがて親を信用できなくなってしまいます。
時々、自分の病気や怪我を親に隠す子がいますが、実はそういう背景があったりもします。
詳しいことは言えませんが、今まで重病の家族を自宅で看病してきたという人の話は何度も聞いたことがあります。
その中には、その自宅で行われていた健康法こそが、病状を悪化させてきたのでは?と思えるような例もあります。
また、家族が信じて実践させていた養生法が苦しいだけで効果がなく、ただただ我慢の日々の末に最後の日を迎えてしまった・・・という例もあります。
その背景には、家族の側にも変なプライドみたいなものが見える場合もあるんです。
「我が家は○○健康法を実践してきた家庭だから、医者に見てもらうわけにはいかない」とか、
「長年夫婦で□□式食事法でガンにならない生活をしてきたのに、早死にしてもらっては困る」とか。
よく病院で、「当院で死亡率があがると困るから」と、危険な患者は受け入れないとか、延命措置にこだわる病院とかが批判の的になりますが、実は同じようなことが家庭で行われている場合だってあるのではないでしょうか。
何にしても、盲信というのは本当に恐いものだと思います。
どんなに理屈が通っていようとも、その指導者がどんなにいい人で、どんなに真剣に語ろうとも・・・
理屈なんて、どんなものでも通せば通るのです。
カルト教団だって、犯罪集団だって、自分たちのやっていることを理論上正当化することなんて出来てしまうわけですから。
世間を騒がせるカルト団体の出版した本だって、読んでみれば「なるほど、いいこと書いてあるなぁ」なんて思ってしまいますよ。
とにかくどんなことでも、そのこと一つで頭の中を埋め尽くさないで、すこし隙間を作って、別のものが入り込む隙を設けておくことも、とても大事なことじゃないでしょうか?