■お腹と感情・ストレスの関係
人の体は『腰が要』とよく言われますが、その腰と対になっているのが腹部です。
腰はどちらかというと、「腰の力で持ち上げる」と言われるように、体の動き(運動)の要です。
一方、お腹は主に内臓、心理的な面の要という特徴を持っています。
お腹は肉体的にも心理的にも、内的な面の要なのです。
人間の体は、見た目には腹が正面、背中が裏ですが、四つ足動物は背中(腰)が表、お腹が裏です。
お腹は常に守り、隠している部分です。
つまり、心の内面を隠している部分、でもあるんです。
(動物は、相手に服従や親愛を示す時しかお腹を見せませんよね。)
とにかくそんなふうに、お腹はその人の心、感情の状態が非常によく現れる場所です。
だから、「胃が痛い」「食欲がない」「下痢と便秘をくり返す」・・・といったお腹に関するトラブルには、ほとんどの場合、なんらかの心理的ストレスが関係しているのです。
そういう人のお腹は、常に固く張っています。
また、中には部分的に固くなった塊(かたまり)が出来ている人もいます。
それらがある人は下痢に、ある人は胃の痛みに、ある人は便秘に・・・と様々な表れ方をしますが、実はその背景にあるのは、そういうことなんですね。
ですから、胃薬や下痢止め、便秘薬などを飲んでも、根本的には解決しません。
ただ一方で、やはりお腹は心と繋がっていますので、そのお腹の硬直を解きほぐしていくことは、胃腸の症状だけでなく、心理的な落ち着きにもいい影響を与えます。
■お腹のゆるめ方
さてここでは、簡単にできるお腹のゆるめ方を紹介しましょう。
自分でもできますし、お子さんやご家族にしてあげることもできます。
仰向けに寝て、両手の指を重ねます。
第一関節から先、指紋のある部分(中指を中心に、人差し指、薬指を添えます)で柔らかく、図の番号順に押さえていきます。
ヘソの右斜め下から時計回りに、計6箇所。
吐く息にそって真下(床方向)へ押さえます。
押さえきったら少しヘソの方へ向けます。
そのまま3呼吸程度押さえたままにします。
吸う息にそって手をゆるめ、次の場所へ移ります。
時間があれば2~3周繰り返しても構いませんし、気になる所は押さえる時間を長くしたり、最後に付け加えたりしても結構です。
押さえる場所はヘソから指3~4本分ほど外側ですが、あまりこだわらず、気になる場所を探して押さえてみてください。
痛みが強い所は加減して押さえるようにしましょう。
仕上げに両手のひらを重ね、ヘソを覆うように乗せ、ゆっくりめの呼吸をしばらくします。
こうすることで腹の硬直は少しずつ弛み、内臓の働きを促進し、呼吸を深くし、腰の弾力を良くする手助けにもなります。
また、この一連の刺激は腹の中心に向かって力を集めていくような力の流れです。
それは中心に向かってまとまりのある体に近づけていくことであり、感情のバラツキを整えていくことにもつながります。
■子どもの腹痛と感情
ところで、子供のお腹は、ヘソより上の部分が張り出していますよね。
張り出しているといっても固くなっているのではなく、弾力ある風船のような張りです。
いわゆる“幼児体型”のお腹です。
子供の価値観というのは、ほとんどが感情と言っていいと思います。
理屈や損得よりも、嬉しい、楽しい、悲しい、寂しい・・・といった感情が中心です。
子供は泣いたり笑ったりと賑やかですが、怒られて“シュン”となってもすぐに元気を取り戻せますし、友達とケンカをしてもやがて仲直りできます。
これが理想的な子供の感情の「流れ」です。
子供の感情は、停滞せず、常に流れているのが理想です。
いつまでも一つの感情を引きずらないこと、これは、お腹に弾力があるが故のことなんですね。
しかし残念なことに、この感情の“流れ”が淀んでしまっている子供達の姿をみかけることもあります。
そういう子は、お腹を固くしてしまっているのです。
特に上腹部にその傾向は強く現れます。
あわせて腹筋(腹直筋)全体を固くしてしまっていることも多く、これらは自覚の有無にかかわらず、寂しさや不安などといった感情の停滞です。
これらは大人の場合も、基本的には同じです。
大人はそこに損得、見栄、様々な先入観などの観念が加わりますから少々複雑ですが。
これらは少々難しい問題ですが、上記のお腹をゆるめる方法を、或いは軽く手を乗せるだけでも構いません。
お母さんが落ち着いて、無心でお腹に手を当てた結果、変化がみられたという例もあります。
とにかく子供の場合は、どんな病気であっても、お腹が硬直していることが多いです。
アトピー性皮膚炎、喘息、側湾症等で連れてこられるお子さんの多くも、お腹を硬直させています。
やはり子どもは、感情に支配されやすいからです。
しょっちゅう「お腹が痛い」と訴える子、月曜日になるとお腹を壊す子も、その感情の停滞をお腹で訴えているのです。
もちろん「仮病」とは別物で、本当にお腹が痛むのです。
大人も根本的には同じで、お腹には様々な「ストレス性」の症状が表れます。
食欲がなくなったり、逆に過食をしてしまう、吐くまで食べてしまうというのも同じです。
「逆流性食道炎」などは、食道に炎症が起こる病気ですが、これも主にストレスで胃の働きがおかしくなって起こる症状です。
「過敏性腸症候群」や「潰瘍性大腸炎」などの病気も、極度のストレスが発端となって起こります。
■お腹が訴えるもの
・・・ このように、腹部は心と密接に繋がっているのです。
内臓の様子とともに、心の内側を示している場所です。
だから“腹の内”を読まれたくないのか、あまりさらけ出したくない場所、安易に他人に触られたくない場所でもあります。
動物ならば常に下に隠しています。
でありながら骨には覆われておらず、触ろうと思えば容易に、しかも深くまで手を入れることもできます。
「さらけ出したくはないけれど、本当は気づいて欲しい、信頼できる相手に分かって欲しい・・・」
そんな意地らしい訴えが、お腹には密かに描かれているような気がします。
どうぞ、お子さんのお腹にも、ご自分のお腹にも、優しく手を触れてあげてください。
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