テレビなどで「現代人の体にはビタミンが足りない」という話を聞けば、ついビタミン剤を飲んで補給しようとする。
また別の番組で、医学博士が「現代人にはカルシウムが足りない」と言っていれば、こんどはカルシウム剤。
また別の番組を見て、こんどは食物繊維のサプリメント・・・
気がついてみれば、毎日十種類あまりのサプリメントを摂り、そして毎日三食欠かすことなく食事もとる、そんなおかしな生活を送っている人は少なくないようです。
理屈を聞けば、「普通の食事だけでは栄養バランスが悪いからサプリで補給しているんだ」とか、「スーパーで売っているような、ハウス栽培の野菜や養殖の魚にはミネラル分が少ないから、サプリで補わないといけないんだ」とか。
しかしそのサプリには、レモン10個分のビタミンとか、レタス2個分の食物繊維とかが含まれているという話です。
要するにその人は毎日レモン10個、レタス2個(×服用した回数)などの栄養を摂ていることになり、さらに三回の食事も摂っているわけです。
人間って、そんなに栄養がないと生きていけないんですかね?
だとしたら、とっくの昔に絶滅してると思うんですが・・・。
そんな食生活をしている人は、明らかに栄養過剰なことは考えればすぐ分かることなのに、テレビの健康番組や健康食品の通販のセールストークに洗脳されているのか、もはや冷静に振り返ることもできなくなっているようです。
そして余分に体についた脂肪をぷるぷるさせながら、むくんだ脚のだるさを「代謝が悪いのはビタミン何が足りないせいかな?」なんて、また栄養のせいにしている・・・
本来、現代人の「食」を正すのなら、まずその食べ過ぎを減らすことのほうが重要なのは明白です。
むしろ食料事情が今よりも悪かった世代の人のほうが、身体能力の面では充実していました。
ただその世代の人たちも、急に物が豊かになり、ある時期から一気に贅沢するようになって、それで急に糖尿病をはじめとする「生活習慣病」が増えてきた。
今や、様々な食の誘惑から、同時に商業主義の健康産業による巧みな誘惑から身を守ることのほうが重要な時代と言っていいでしょう。
ところで・・・
こうした過剰な栄養摂取、食べ過ぎの問題と同じことが、近頃は精神世界の面でも起こっているように思うのです。
次々と自己啓発やら心理学やらスピリチュアリズムやら、次から次へと「あれもいい、これもいい」と言っている人・・・
そんな人のことが、大量のサプリを摂り過ぎて栄養過多・自家中毒状態になっている人と同じように、私には見えてしまうのです。
そして、栄養過多で糖尿病になってしまった人が、少しでもお腹がすくとフラフラになり、すぐに次の食べ物が欲しくなるのと同じように、少しでも不安になると取り乱し、すぐに誰かに依存しなければいられなくなる。
モチベーションをあげるような本を一冊読んで元気になったかと思えば、もうすぐ次には違う本を読まなければ不安になる。
自己啓発セミナーで気分が高揚したかと思えば、ちょっとした失敗で落ち込んで、また別のセミナーで補わないと不安になる。
コーチングを受けて調子が上がって来たかと思えば、コーチがいなくなった途端に何もできなくなり、新しいコーチを探す。
本当に体が丈夫な人っていうのは、僅かな食べ物からでもしっかりと栄養を吸収し、エネルギーに換える力を持っている人のはずです。
心が丈夫な人というのも同じです。
ほんの僅かな情報の中から多くの可能性を引き出せる人、ほんの小さな望みを大切に育んでいける人。
信念っていうものは、そうしていく中で培われるものなんじゃないでしょうか?
次々といろんな人の説をかき集め、つじつまを合わせて、証拠固めをしてやっと信じられるものなんて、外側を固める鎧のようなもの。
本の著者の方々には悪いけれど、ほとんどの本が、「いいこと」ばかり書かれているものです。
読んで感動できるように作られているものです。
世間を騒がせたカルト組織の本だって、知らずに読めば心が癒されるような、あるいは真実に出会えたかのような感動が得られるように書かれています。
ましてやテレビ番組やセミナーなんて、視聴者・参加者を引きつけるための演出が巧みになされている、ショーのような面も持っています。
もちろん、真剣に、困っている人の力になりたくて頑張っている人もいることは間違いありません。
だけど今の時代、健康産業と同じように、こうした情報から身を守るための厳しい目を持つことも大事なのかもしれません。
きっと多くの人が、何か信じられるものを求めているのでしょう。
だけど信じるという心の裏側に、「言われた通りにすれば、いい結果が出るんですよね」という心があるとしたら、それはただの依存ですよね。
裏を返せば、「いい結果が出なかったらあなたのせいですよ」と言っているのと同じです。
だからセミナーでも、健康食品でも、「90日全額返金保証」なんていう保証がついているものが売れるようですが・・・
だけど信じるっていうことは、相手に丸投げすることじゃなくて、選んだ自分を信じる、選んだ自分が責任を取る、その覚悟で臨む…っていうことなんじゃないかと、私は思うのです。
本を選ぶとか、講師を選ぶというのも、同じようなことだと私は思います。
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