テレビ番組のコメンテーターなんかで、やたらと辛口のことを言う人っていますよね。
辛口な程度ならまだマシなんですが、中にはすぐに真っ赤な顔をして怒り出すような人もいます。
そういう「キャラクター」としてやっているのかもしれませんが、何だかもう、最初から「すぐにでも怒り出すぞ!」というような雰囲気をプンプン醸し出しているような人もいます。
見る側としては、恐いもの見たさというか、野次馬みたいな感覚でつい見てしまい、視聴率も上がるのかもしれませんけどね。
でも、こういう人が身近にいると面倒です。
実際、いるでしょう、会社に、あるいは家族に、あるいはご近所に・・・
なんかの話し合いをするときでも、最初から不機嫌な顔で、「怒るぞ!」という雰囲気全開の人。
で、ちょっとしたことに難癖をつけて、話をややこしくする。
だからその場はピリピリしてしまい、みんながその人に気を使い出す。
こういう人って、そうすることでしか注目を集められないというか、自分の存在感を醸し出せないというか、そういうことなんだろうと、ずっと私は思っていたんです。
人は誰でも、やはり人に認められたいものだし、自分の存在感が薄くなっていくことは恐いものですからね。
それは言い換えれば、自分が生きていることが認められないようなものです。
無視されることは、場合によっては嫌われることよりも恐いことがありますからね。
でも、本当は、それだけじゃないんだな、ということを、最近思うようになりました。
ちなみに、なぜ私がそんなことが言えるのかというと・・・
自分自身が、すぐに怒り出す雰囲気全開の人だったからです(汗)
かつて某所でサラリーマンをやっていた頃の話です。
私はその現場では、まだ若くして年長者だったのですが、いつも後輩達の前でイライラしていたのです。
まだまだ未熟な私は、その現場を思うようにまとめられず、思った通りにいかないことばかりで、後輩達の言い分にも耳を貸さずに厳しいことを言ったり、イライラを態度に表してしまっていたり、そんな毎日でした。
退職後も当時の後輩の一部とは付き合いが時々あるのですが、
「あの頃はいつも恐かったんですよ!段ボール蹴飛ばしてたりもして」
なんて言われたこともあります。
思わず「ご、ごめんなさい!」とその場で謝りましたが(汗)
今では仲良く彼らと話しもできるんですが、今思い出しても恥ずかしい限りです。
まぁそんなわけで、経験者としても思うことなのですが、こういう怒りキャラの人って、いつもその「イライラオーラ」によって、自分の周りにバリアを張っているんです。
そして時々威嚇射撃。
段ボールを蹴飛ばすなんてのがまさにそれですね(苦笑)
そうやって、「ちょっとでも気に喰わないことを言ったりしたら、怒り出すぞ!」とか、
「お前ら、ちゃんと俺に気を使えよ!」とか、
「面倒なことをやらかすなよ!」とか、
無言の圧力をかけているわけです。
そして、自分にとって不利益になるようなこと、自分を苛立たせるような出来事などから、逃げていたわけです。
もっと掘り下げれば、「俺はいつもあんた達にイライラさせられているんだ!」ということをアピールしておいて、周りの人達が何か問題を起こした時に、自分はそこに関わらないでいいようなポジションを作っているのです。
そこまで意識してやっているわけではないけど、無意識のうちにそういう心理が働いているのです。
それでいて、「自分はイライラさせられている」という被害者気取りです。
「いつかイライラさせられないような環境に変わって欲しい」などと考えているのだけど、そんな環境は永遠にやってくる筈もありません。
自分で作っているバリアなんだから当然です。
そのことを自覚して、イライラして人のせいにすることをやめる努力をしていかない限りは。
ところで最近は、これによく似た、別の雰囲気を全開で出している人をよく見かけるようになりました。
それは、「すぐに傷つく雰囲気全開!」の人です。
ちょっとでも不利なことや重荷になることを言われる度に傷つく。
いや、それ以前に最初から悲しそうな顔をして備えているのは、いつでも怒り出す雰囲気全開の人と同じですね。
そして、まるで人の言葉の揚げ足を取るかのような威嚇射撃もしてきます。
時々やらないと、自分が傷つきやすい人間であることを周りの人に忘れ去られてしまい、気を使ってもらえなくなるからです。
周りの人が上手に気を使ってくれて、自分を傷つけなくなってもまた不安なのです。
時々傷ついて泣いたり騒いだりしないと、周りの人に「この人は大丈夫だ」と思われてしまうからです。
だから、揚げ足どころか、揚げかかった踵を蹴るかのように、時には揚げてもいない足をすくい揚げるかのように、あるいは膝カックンのようなものでしょうか・・・何かと難癖をつけて、「私は傷つきました」と仕掛けてくる。
もう周りの人達はどう対応していいかわかりません。
だから近寄らないようになっても、今度は「態度が冷たい」と攻撃。
とにかくその人には特別な気遣いを強いられてしまい、結果的に周りの人達は皆、その人にコントロールされているようなものです。
そうやって結果的に、頂点に立っているのです。
このような美味しい立場は、なかなか手放せないものです。
そして強力なバリアで自分を守っていますから、いつまでも心は丈夫になることがありません。
最近はそこに病名までつけてくれる親切な人もいて、より箔がつきます。
バリア作りを手伝ってくれるメンタルヘルス屋さんまでいます。
火傷の痕や擦り傷は、絆創膏で覆い続けるよりも、空気にさらす時間がある方が早く治ります。
骨や靭帯の損傷も、早めにギブスを外して動かながら治した方が経過が早く、また丈夫になって怪我を繰り返しません。
心だって、同じです。