人前で大きく口を開けてアクビをすると、「だらしない」とか「緊張感がない」などと言われることがあります。
会議中にアクビなどしようものなら、「やる気がないのか!」と怒られますよね。
だけどこれは裏を返せば、アクビをするというは、体や心が緊張から解き放たれ、ゆるんでいる、ということでもあります。
実際、アクビにはそのような効果があります。
細かく言えば、緊張した状態を解きほぐそうとして出るものなんです。
さらに細かくいうと、強い緊張状態の真っ最中にはさすがにアクビなど出ません。
その緊張もピークを超え、やっと少し一息つけそうな状態になった時に、体はその緊張を解きほぐそうとしてアクビをもよおすのです。
だから本当は我慢せず、思い切りアクビをすると心身がうまくゆるんでくれます。
アクビが出るときには大きな口を開けますが、そうすることで、左右の顎関節が効率的にゆるみます。
顎関節というのは、その人の精神的緊張がはっきりと現れる場所です。
「歯を食いしばる」というのはまさに顎関節を緊張させることです。
何かを我慢していたり、心配していたり、用心していたり、人に気を使っていたり、人の顔色を窺っていたり・・・そんな時は皆、無意識に歯を食いしばっているものです。
無意識下のことですから、寝ている間もその力が抜けません。
睡眠中の歯ぎしりは、そうした緊張の影響で起こります。
また、たとえば厳しい親に育てられた子ども、よくない環境の中で育った子どもにも顎関節症が多くみられるのですが、それも無意識の緊張によって歯を食いしばり続けた結果起こったものとみて間違いないでしょう。
とにかく人は歯を食いしばること、顎関節に力を入れることによって、ストレスに耐えたり、発散したりしているのです。
ストレスで食べ過ぎるという人も、お腹を満たしたいだけでなく、とにかく噛みしめたいのです。
だから固い食べ物や弾力のある食べ物を好む傾向があります。
試しに、後頭部(耳の後ろ辺り)に手を当てながら大きく口を空けたり、強く閉じたりしてみて下さい。
すると、口の動きと共に、頭の骨も動いていることがわかるでしょう。
つまりアクビをするということは、頭の骨を動かすという働きもあります。
首の骨(頸椎)を触りながら口を動かしてみても、骨が動いていることがわかるはずです。
頭や首の骨が緊張している時というのは、ほぼ間違いなく脳の働き過ぎ、精神的緊張や頭脳疲労の激しい時です。
顎関節を大きく動かすということは、その緊張をほぐすためにとても重要なことです。
アクビというのは本能的にそれらをゆるめようとして起こる働きなんです。
ちなみに、歯の矯正や美容整形などによって顎関節の動きに制限を加え続けると、こういった顎関節〜頭部の連携が遮断されてしまいます。
顎の動きが制限される分、首や頭の緊張の逃げ場がなくなってしまうわけですね。
実際、歯の矯正をしている人はなかなか体がゆるみにくく、変化しにくい傾向があります。
とにかく大きな口を開けてアクビをすることには大変大きな意味があります。
どうぞ積極的に、アクビを出して下さい…と言われても、出そうと思って出るものではないですよね。
(実際には慣れればいくらでも出せるようになるんですが…)
とりあえずは、まず「みぞおち」をしっかりゆるめることです。
それと、後頭部をゆるめるとアクビが出やすくなります。
背筋を軽く伸ばして顔を上に向け、頭を軽く左右に振れば、首と頭の境目の辺りが刺激されてゆるんできます。
その時に口を開けておくと、アクビが出やすくなります。
アクビがしっかり出ると、同時に涙が出てきます。
目の疲れを取るのには、どんな目薬よりも涙を出すことが一番効きます。
そして目の疲れというのも、実際には「神経の疲れ」「脳の疲れ」と結びついています。
ついでに「感情の疲れ」も涙を出すことで取れやすいです。
自分に正直になって、悲しみや苦しみにもしっかり向き合ってみると、こらえてもこらえても涙が出てくるでしょう?
こらえながらも泣いていると、腹の奥からひきつるような「泣きじゃっくり」が出てきます。
この「泣きじゃっくり」によって腹の硬直も、胸の詰まりもだんだん取れていきます。
しかもこらえた分だけ濃い涙が出て、目の曇りも取れてきます。
ただしこれには条件があって、本当に腹から出てくる泣きじゃっくりでなければ効果がありません。
最初からこらえもせず、周りの人に泣きっ面を見せつけるような泣き方では意味がありません。