人類の四足歩行から二足歩行への進化というのは、体を「起こしていく」こと、つまり背筋を反らせていくこと、ということができます。
つまり人間が立っていることの大前提としてあるのは、この「反り」の力だということです。
これが常に働いていなければ、人は立っていられないわけです。
座っている時でも上半身を起こしていなければなりませんから、反りの力は働いています。
寝ているとき以外は常に働いていることになります。
逆に考えると、この反りの力というのは、意識がなければ働かない力です。
つまり意思の力とでもいいましょうか、少々大げさですが、精神力の現れということもできるんです。
「精神力」が全く働かない睡眠中は、この力は働いていません。
(厳密には、睡眠中でも頭が休まらずにいる緊張状態の人もいて、そういう人は寝ていても背筋がピーンと緊張しています。)
よく、姿勢というのはその人の気持ちとか精神状態を表すと言われていますが、実際にその通りなんです。
気力がなくなれば、背筋を起こそうという力も働きません。
それで背中が丸くなってしまうわけです。
完全に気を失えば、立っていることさえできません。
人間が生まれたばかりの時には、まだこの反りの力が働きません。
完全に母親に依存して、他力本願の状態です。
しかしそれは徐々に変化していきます。
まず首がすわってきますが、これは将来自分の頭を支えて持ち上げるための準備であり、首から順に背骨を鍛えていくための準備です。
つまり背筋を起こす、反らすための準備です。
やがてうつぶせで背中を反らすような動作を見せます。
そして足腰を鍛える「ずりばい」「ハイハイ」などのプロセスを経て立ち上がります。
つまり赤ちゃんの成長というのは全て、「反り」の動作なんです。
ともかくこの「反り」の力というのは、体をしっかり支え、自由に動くための土台であると同時に、精神力、意志力とも深い関係性を持っています。
反りの力が衰えてくると、立てなくなってしまう、そして寝たきりとなってしまうんですが、反りのない体は見た目にも年寄りくさいですよね。
要するに、「アンチエイジング」の要も「反り」なんです。
当塾では、体づくりと健康保持のためにこの「反り」を重要視して指導を行っています。
反りのない体は、硬直、そして弱体化へと向かっていき、精神面も不健全になっていきますから、しっかりと反りのある体を創っていくこと、保っていくことはとても大事です。
実際、体操でも整体でも、体が整って来た人は、体に「反り」ができてきます。
そして精神面でも充実してきます。