当塾の整体法講座では、時々整体式の応急手当てをお教えしています。
その大前提として、色々な知識とか技術とかがなくても、まず咄嗟に行う応急手当てというのが、手当て(愉気法)です。
以前、お子さんが強く背中を打つ打撲をしたという事例がありまして、お母さんが咄嗟に手当てをしたそうなんです。
するとしばらくして汗が出て来て、やがて打った背中の反対側、つまり胸に湿疹が出て来たそうです。
打撲の恐いところは、打った衝撃が体の中に入り、留まってしまうことです。
背中を打った衝撃が肺に残ったり、腰やお腹を打った衝撃が腎臓に残ったり、頭を打った衝撃が脳に残ったり。
そうやって後々、内蔵や脳が壊れていく、ということがあるんです。
だけどその残っている衝撃というのは、レントゲンなどには写らない、影も形もないものです。
その背中を打ったお子さんの場合は、おそらく衝撃が胸の内側、呼吸器に入ったのでしょう。
だけどたっぷりと手当てをしたことで、熱となり、湿疹となって、表面に排泄されてきたわけです。
おかげでその後、体に異変が表れる事はありませんでしたが、何もせずに放っておいたら、その後何らかの呼吸器の問題、あるいは心臓の問題などが発生していたかもしれません。
「手当て」なんていうと、新興宗教などでやっているような怪しい方法に思えるかもしれませんが、別に宗教的なものでもなんでもなく、ただ「思わず手を当てる」でしょう、痛いときって。
その本能を、そのまま形にしただけなんです。
特に打撲の衝撃などという、影も形もないけれど、それでも存在するものっていうのは、物理的な処置のしようがないものです。
特に体の中に入った衝撃などというのは、外科的にも、内科的にもどうにもできないのです。
だけど、慣れている手、感覚の優れた手では、その「衝撃」の存在を手で感じることができるようになります。
そしてそれが、整体的な応急手当ての基本なんです。
また、応急手当てを学ぶことというのは、人の体や心のしくみを学ぶ上で、非常に役に立ちます。
なぜそのような症状が起こるのか、たとえば今回取り上げる予定の「モノモライ」などは頭の疲れが溜まって出来る場合が多いのですが、そのポイントは頭部や肩、首などにあります。
頭が疲れた人というのはどのような体の状態になっていて、そしてそれがどういう流れで目に影響するのか・・・などといったことが分るようになります。
同じように、便秘の本当の原因とか、中毒のしくみとか、そういったことも、応急手当ての方法を通して理解を深めていただくチャンスです。
そしてもちろん、特に育児中の方や、今後育児にかかわる予定の方にとっては、お子さんの体を守ってあげるために、そしてそんな緊急の時にこそ、親子の信頼を築くためにも、これらの技術と知識を活用して頂きたいと思います。