腹と腰は表裏一体で身体の土台であるということがよく言われていますし、精神的な面での土台であるとも言われています。
「腹を決める」とか「本腰を入れる」なんていう言い方もよくされています。
人体の構造の面から見ても、腰や腹は背骨という柱を支える土台のような部分です。
その柱の上には重たい頭(脳)が乗っています。
当然、その土台に力がないと、身体的にも、精神的にも安定は得られません。
ところが、この腰や腹が固い人は多いのですが、しっかりと力が充実した人というのはあまり多くないのではないでしょうか。
若い人ほど、力のない人が多いように思います。
その原因をたどれば、子どもの頃の過ごし方や幼少期にまで遡ることになりますし、本当に様々な要因が考えられます。
長くなるので今回は言及しませんが、ともかく土台に力がない人は年々増えているように思います。
身体の構造的な面は専門家でないとわからないかと思いますが、でも何となく、見ていて「安定感がないな」と感じる人っていますよね?
決断力がなく、やたらと用心深かったり、チャレンジ精神がなかったり、人の言うことにばかり左右されていたり。
こういう人の身体状況を一言でいうと、「頭にばかり力が入っている」のです。
用心深いのも、人の言うことばかり気にするのも、とにかく頭の中で情報分析ばかりをしている、ということですよね。
そしてその情報を分析し、理論的に正しいと結論づけられるもの、あるいは成功すると確信できるものしか信用できない、選択できないようになっているのです。
つまり、頭でしか決められない。
腹で決められないし、腰を決められない、ということです。
で、そういう人の体に共通する特徴が、腰や腹に力がない、ということなんです。
実際に腰を触ってみても、弾力が感じられません。
(ただ萎縮して固くなっている人はいます。
腰痛を訴えている人に多いです。)
その腰の根元に力がない分、腰よりもっと上の部分に余計な緊張が加わってしまっています。
(腰椎の1番とか胸椎の12番辺りです。)
頭を直接支えている首にも余分に力が入っています。
こうなると、余計に頭の力が抜けなくなってしまいます。
そして体の上のほうにばかり重くなり、余計に安定感がなくなります。
重い荷物を抱え上げた時には、うまく体のバランスが取れずに足下がふらついてしまうものですが、それに近いような身体状況になってしまっているわけです。
そして身体だけでなく、精神面でも、ふらついてしまうようになっていきます。
現在の社会の風潮というのは、そういう身体状況がそのまま反映されているような気もします。
ネットを中心とした情報の氾濫、経験よりもすぐ解る答えが喜ばれ、若い人たちまで希望より安定を求める・・・
こういう世の中だからこそ、より一層腰と腹をしっかり鍛えることが大事だと思うんですが。