定期的に通っている専門料理店が近所にあります。
とても美味しい料理が食べられる店なんですが、ちょっと個性的な店なんです。
まず店に入ると・・・いや、入る前から、いろんな物が無造作に置かれているのが目につきます。
入り口のドアのストッパーになっているのはトカゲの置物。
中にはワニの置物。
つい最近までは、公園にあるような子供が乗って遊ぶ遊具が駐車場に置いてありました。
カウンターの上にも様々な動物やキャラクターの人形が、そして奥にはパチンコ台が。
その後ろにはフィットネス器具の「ロデオボーイ」!
本棚には様々なジャンルの雑誌がごちゃ混ぜにおいてあり、漫画の単行本の間に実用書が混ざっていたり、棚に並んだ本の前に雑誌が積んであったりして取り出せなかったり・・・
とにかく整理整頓が出来ていない店なんです。
メニューも整然としていなくて見づらく、色使いだけがやたらと濃い。
店内のあちこちにお勧めメニューやサイドメニューの案内が貼ってあり、どれを見て良いかわからない。
しかも行く度に、新メニューが増えたり、減ったり・・・
飾ってある謎の品物の数々も、増えたり、減ったり・・・
と、一言で言うと「節操のない」店なんですが(汗)、私はこの店に最初に入った瞬間に、店主の体型やキャラクターがすぐに推測できました。
『体癖』でいうと腰椎2番のタイプ・左右型の3種。
店主の男性は、まさにその典型的なタイプで、ぽっちゃりした丸顔、童顔の男性でした。
しかもいつ見ても横ボーダーのシャツを着ているんですが、それも左右型の隠れた特徴です。
丸いお腹が余計に目立つからやめたほうがいいんだけど・・・だけどどうしても、着ちゃうんですね。
さらにそのシャツも、着古していてヨレヨレだったりします。
3種の男性は、そういうことを気にしない人が多いんですね。
気にしないというか、気づけないんです。
お店で出しているおしぼりも、穴があいていましたが・・・。
で、左右型の人というのは食べるのが好きで、しかも特に男性の場合だと、ちょっとだけマニアックになる傾向があります。
マニアックといっても、とことん突き詰めて深く極めることは苦手なんだけど、好きな物はずっとそばに置いておきたい。
まるで子供が大事なプラモデルをいつまでも眺めているようなものです。
なので、大好きな食べ物に毎日囲まれて仕事がしたかったのでしょう。
そこの料理の素材はこだわりの産地限定のもののようで、実際、とても美味しいのです。
だけどこだわりと言っても、とにかくそれが美味しく食べられればいいだけで、徹底的に盛りつけにこだわったり、調理方法を極めたり・・・という繊細なことは得意ではなさそうです。
実際、キャベツの千切りはいつも太さがバラバラだし、他の野菜の形もいつもバラバラです。
テーブルの上には無数の調味料が並んでいて、一体どれを使えばいいのか判らない。
本当にこだわりの強い店だったら、「この料理にはこれ!」と決めてくるんでしょうけどね。
その店には、塩だけでも10種類以上、辛み調味料も数種類、サラダ用のドレッシングも数種類・・・といった具合で、どれか一つにしぼることができていない、これも「左右型」の大きな特徴です。
・・・何だか悪口を言っているかのようですが、決してそんなつもりではないんです(笑)
実際に私は何度もこの店に通っていますし、それもこの店で出される料理が好きだからです。
確かに整理整頓が出来ていなくて、ちょっと落ち着かない感じはあるけれど、まぁこれは、店主の特徴を見る限り、仕方ないな、と思えるわけです。
仮に、この店にアドバイザー的な立場の人が入ったとして、その人が
強引に整理整頓を敢行したとしましょう。
無数の調味料も一つに絞り、店内の装飾品も破棄。
あまり奇麗とは言えない手作りの看板やメニュー表作りも一切禁止し、もちろんヨレヨレのボーダーシャツも禁止!
完璧に整った店の中で仕事をさせられたとしたら、一気にこの店の持つ良さが消えてしまうと、私は思うんです。
さらに、食べ物の味さえも落ちてくると思うんですよ。
それは、そんな環境の中では、その店主は実力を発揮できないからです。
これは私の勝手な空想でしかありませんが、彼が他の店で修行していた時には、その店の中では出来の悪い弟子だったのかも知れないのです。
仮に修業先の店が、全く違うタイプの、全てがマニュアル通りの堅苦しい店だったとしたら、きっと左右型の彼は「問題児」だったと思うんですね。
「お前なんて、いつまでたっても独立できないぞ」
「そんな状態で自分の店を持ったら、大変なことになるぞ」
なんて言われていたかもしれません。
だけど彼が自分の店を持ち、自分のやりたいようにやり始めたら、かつての修業先の人たちが驚く程の人気店になっていた・・・
なんていうことがあっても、決して不思議ではないんです。
人には、自分を活かす環境と、そうでない環境があるからです。
普段、この店では店主が一人で切り盛りしているようですが、オープンして間もない頃、彼の母親らしき女性がお手伝いに来ていました。
母親も、同じ3種っぽい雰囲気でしたから、きっと同じようなノリなんでしょうね。
おかげで彼も抑圧されることなく、ノビノビと自分のやりたいようにやっていられるのかも知れません。
美味しい料理をこれからも食べさせてもらえるなら、少々散らかっていたり、おしぼりに穴があいている位我慢して、今後も通うことにします。