人はよく、同じ失敗を繰り返してしまうものですよね。
望んでもいないし、気をつけているつもりなのに、また同じことを繰り返してしまう…。
借金を繰り返す人、事業を立ち上げては失敗を繰り返す、なんていう人もいます。
借金や事業の失敗は「自己責任」といわれればその通りですが、中には自己責任とは言えないような失敗を繰り返す人もいます。
たとえば、出会う男性全員にDVをされるとか。
ブラック企業からようやく転職したのに、次も、また次もブラック企業だった、とか。
これもまあ、選んだのは自分なわけですから、100%責任がないとは言い切れないかもしれません。
だけど中には、引っ越す度に空き巣に遭うとか、行く先々で車をぶつけられるとか、明らかに自分には責任がないと思われるようなトラブルに繰り返し遭う人もいます。
これは単なる偶然なのでしょうか?
潜在意識にある「信念」
潜在意識のしくみから考えると、これはやはり、決して偶然とはいえない、ちゃんとした法則性があります。
数年前に「引き寄せの法則」というものが流行りましたが、その言葉を借りると、やはり本人の潜在意識にある強い「信念」が、そのような不幸な出来事を潜在意識経由で引き寄せてくるのです。
頑張り屋のAさん
私の知り合いに、とても頑張り屋さんで努力家の人がいます。
仮にAさんとしましょう。
Aさんはとにかく負けん気が強い人です。
逆境に「強い」というわけではなく、その度に心底悩んで落ち込んでしまうのですが、最終的にはいつも「何くそ!負けてたまるか」と頑張ります。
そうやって、いろいろな局面を乗り越えてきたわけですが、本人は当然それを望んでいるわけではありません。
いつか楽になる日を望んで、その逆境と戦っているわけですね。
そしてその逆境の中で人は強くなる、逆境の中でこそ見えてくるものや気づくことができるものがある、という信念を持っています。
堅実で慎重なBさん
いっぽう、また別の知人Bさんは、人生には荒波が繰り返し押し寄せるものだ、決して気を抜いてはいけない、常に危険が押し寄せてくるものだから、何事にも注意を怠ってはいけない、と信じて過ごしています。
たとえば仕事がうまくいっても、「これで喜んではいけない」と考えてしまいます。
そして「この良い状態を続けるためには、常に気を張っていなければいけない」と、いつも心がけています。
Aさん、Bさんの信念の裏側にあるもの
一見Aさんは逆境に強く、たくましい人に見えます。
Bさんは堅実で、落ち着いた人に見えます。
しかし両者ともに、常に何かしらの問題をかかえ、頭を悩ます日々から脱却できずにいます。
おそらく子供の頃からずっとなのでしょう。
どちらも実際、ここでは書けないようなトラブルをたくさん経験している人なんですが…。
全く逆のタイプのように感じられるお二人ですが、それぞれが持っている信念のさらに奥には、「幸せになってはいけない」という信念が隠れているのです。
Aさんは、人生とは戦いであると信じています。
負けてたまるか、逆境を乗り越えた先にこそ幸せがある、と考えています。
しかしこれは潜在意識的に見れば、その信念を実現するために必要なものは、「逆境そのもの」ということになります。
逆境がなければ、戦うことも、乗り越えようと日々頑張ることもできません。
「逆境に打ち克つ」ということに自分の価値を感じているのですから、逆境がなければ自分の価値を感じることができなくなってしまいます。
だから、仮に一つの逆境を乗り越えた、クリアしたとしても、潜在意識が次の逆境を探し初めてしまいます。
Bさんは常に安全に、トラブルなく気をつけて生きていたいと思っています。
裏をかえせばそれは、「世の中は危険だらけである」と信じているということになります。
気をつければ気をつけるほど、堅実であろうとすればするほど、それは危険を引き寄せることになります。
堅実な自分を正当化するためには、危険が必要です。
危険な目にあってこそ「ほら、だからもっと気をつけないといけないのだ!」と、堅実さへの信念をさらに高め、しかしそれと同時に危険への意識も高める、この追いかけっこには終わりがありません。
最初にすべきこと
Aさん、Bさんが本当に幸せになるためには、それぞれが持っている信念を捨てることから始めなければいけません。
もちろんそれは簡単なことではありませんが、まずはその信念に気づくことですね。
不幸続き、トラブル続きの人が、そんな人生を変えたいと思い、心理学を学んだり、セラピーを受けたりします。
しかしその心理学やセラピーでさえ、ずっと持っている信念を元に探してしまいます。
自分の信念に適っている方法を探してしまいます。
Aさんだったら、「どんな逆境にも負けないメンタルを身につける心理メソッド」みたいなものに惹かれることでしょう。
Bさんだったら、「人生の荒波を避けて安心を手に入れる方法」とか「危険察知能力を高める能力開発」というようなものに関心を持つことでしょう。
今一度改めて、自分は人生に対してどんな信念を持っているか、どんな人間になりたいと思っているか、ということを問いかけてみて、その土台となっている「信念」をよく分析してみることが大事なのではないでしょうか。
意外にも、ずっと自分が大事にしてきたものこそが、自分自身を縛りつけていたりするものです。