健康の自立

体と心全般

寒さがどんどん厳しくなってきました。

『冷え』は様々な形で体に負担を与え、害を及ぼすことがあります。

しかし本当に一番よくないのは、『冷えを過剰に恐れる心』だと思います。

 

もちろん限度はありますが、私達の体は、ある程度の気温の変化に対応できるようにできています。

だから元気な人、健康な人はあまり寒さや暑さを気にしません。

暑さ寒さへの対策がある程度必要ではありますが、でも本当に健康な人は、冷えれば温める、寒ければ着る、暑ければ脱ぐ、という程度の大雑把なことでしのげてしまいます。

 

あまりに神経質になることは、むしろ体や心を弱くさせてしまうことにもつながります。

元気な子どもは、寒空のもとでも元気に走り回って遊んでいます。

雪が降っても大喜び、冷たい雪を素手でつかんだり、雪の上に転がったりしてはしゃいでいます。

それで冷えの影響を受けて風邪をひいてしまうかというと、決してそうでもありませんよね。

むしろ真っ赤に顔を紅潮させて、さらに元気になっていたりします。

 

ところが、そんなふうに元気に遊んでいる子どもに対して、

「こんな寒い日に外に出たら風邪をひくでしょ! 早く家に入りなさい!」
と、無理矢理家に引きずりこむようなことばかり繰り返していると、やがてその「寒い日に外に出ると風邪をひく」という言葉が脳裏に焼き付いて、ほんとうにその通りになってしまいかねません。

 

冷えのことばかりではありません。

たとえば野菜が苦手な子に、「野菜を食べない子は丈夫になれませんよ」と毎日叱り続けていると、その子は「自分は丈夫になれないんだ」と思うようになる。

叱られたって食べられるようになるわけでもありません。

不味いものは不味いんです。

そこにさらに「我慢して食べなさい」なんて叱られれば、「自分は我慢のできない子なんだ」という思い込みまでもが上乗せされてしまいます。

 

そもそも、子どもは時期によって成長のペースが違いますから、偏食をするのもある程度当たり前なんです。

それを成長の終わった大人の目線で「何でも均等に食べなければならない」なんていうことのほうがおかしいんです。

でもやはり、子どもは親の支配下にありますから、たとえそれが誤った決めつけであっても、その影響をダイレクトに受けてしまいます。

 

このように、たとえ事実に反することであっても、その言葉の影響を受けて体や心を萎縮させてしまうということは、大人にもあることです。

近年、食べ物にこだわる人が増えているのも、衛生管理に気をつける人が増えているのも、健康法に熱心な人が増えているのも、さらには占いや予言などに傾倒する人が多くなっているのも、情報によって萎縮させられている、という面が強いからではないでしょうか?

 

情報が多いことはありがたいことのようにも思えます。

しかしその一方では、

「毎日○gの野菜を食べないと病気になりますよ」

「一日□□kcal消費しないとメタボになりますよ」

「玄関に△△を置くと不幸になりますよ」

というような決めつけから逃れられなくなってしまった人が増えている、その原因にもなっていると思うのです。

 

健康に生きるということは本来、もっと伸び伸びと、力強く、自分の体や心、生命そのものの力を信じて活かしていくことだと思うんです。

そして様々な不安に打ち克ち、自分をさらに大きく拡げていくこと。

『健康法』や『自己啓発』の目的は、本来そこにあるのではないかと思うんです。

少なくとも、病気や人生のトラブルに対する不安を前提にして、そこから逃れるための防護策を講じるというような、後ろ向きなものばかりではないはずです。

 

情報に振りまわされず、他者の決めつけに萎縮しないということは、そうした情報や他者に対して『依存することをやめる』ということでもあります。

自分に責任を持つということ、自分を信じるということ、と言い換えることもできるでしょう。

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