私達の体には、「喉が渇いた」とか「お腹が空いた」とか、水分や栄養分の欠乏をきちんと体で感じ、要求する機能が備わっています。
もっと精度をあげると、ただの空腹感だけでなく「塩っぽくてちょっと油の効いたものが食べたい」というように、自分の体に今現在必要なものをちゃんと指定して要求してくれます。
本当は誰の体もそのような要求を毎日出しているはずです。
しかし多くの人は、それを無視してしまっているだけなんです。
しかも自分で無視をしておきながら、「自分の健康のため」などと言っては「毎日2リットルの天然水を飲まなければいけない」とか、「20品目の野菜を摂らなければいけない」とか、どこかの健康教室の先生の要求ばかりを聞いていたりする。
それでは体もいうことを聞いてくれなくなるでしょう。
多数のサプリメントを摂り過ぎて栄養過剰になっている人とか、水の飲み過ぎで腎臓が草臥れている人は本当に多いです。
それでもまだ「何がいけないんだろう」と新しい知識を探そうとする・・・答えはちゃんと、自分自身の中にあるのに。
当塾の目的は、その自分の中の声に素直に耳を傾けられるようになることです。
それを「自然体」と呼んでいます。
決して自然食であるとか、人工的なものを一切排除した生活をする、という意味ではありません。
あらゆる生物には、その生命を維持するための様々な機能・能力が備わっているはずです。そのための最大限のパワーは、その「中」にあるはずです。
自然の力というのは、そういうものじゃないでしょうか?
そしてその力をじゅうぶんに活用して生きること、それが「自然体」なのだと思います。
道端に生えている草木でさえ、養分の多い場所をめがけて根を伸ばしていったり、光が当たりやすい場所を自らみつけて葉を広げていったり…そんな知恵と行動力を持っています。
コンクリートに押しつぶされても、僅かな隙間を自ら見つけ出し、地表へと顔を出して行きます。
それくらい、過酷な状況下でも生きるための強い力が備わっているんです。
それが、私達人間にないはずがありません。
ところで、そんな自然な力を発揮できる体というのは、どういうものなのでしょうか?
いろんな角度から考えることができますが、その条件の一つが、背骨のしなやかさです。
背骨が柔軟な人は、その自然な力を発揮しやすいし、体や心の感覚が優れています。
理由は色々考えられますが、一つは背骨が身体を動かす柱であり、原動力であること。
だからカチカチになっていると、すばやい身体の反応、自然な反応が取れないんです。
もう一つは、背骨(の中身=脊髄)が脳の延長であること。
ならば一番大事なのは脳そのもの、「頭」じゃないのか?ということも言えるんですが、その脳で捉えた情報を体に伝えるのは脊髄であり、実際の体の反応(内蔵の動きを含めて)、『動き』として現すためには、どうしても背骨を動かさないといけないからです。
実際、背骨がカチカチの人は、様々な身体反応が鈍いです。
そして感覚も鈍くなります。「ガサツ」にもなります。
結果的に、その本体である脳の働きのほうも鈍くなります。
体の疲れも、精神の疲れも、実は背骨に出ます。
それを蓄積させると、固くなっていくのです。
だからそのまま固まらせないようにケアする必要があります。
そのために、当塾では整体とともに、必要に応じて様々な体操などをお教えしています。
整体法が背骨を重視するのも、本当はそういう理由だからです。