暑い日が続くと、動く気がしなくなってきます。
それは単純に、動くとさらに暑くなるからという理由ももちろんあるのですが、それ以外に、腰が固くなると人は動きたくなくなる、という理由もあります。
夏の半ば以降になると、腰が固くなる人がとても多くなります。
8月に入った頃には、もうそういった傾向が見られます。ただ、自覚があるという人はあまりいないようですが。
この時期特有の固さというのは、「腰椎5番」という、背骨の一番下に位置する骨に上半身の重みが集約され、それに耐えている状態です。
なぜそこに集約されてしまっているのかというと、暑さによる呼吸器と腎臓などの疲労のせいで、背中が丸くなってしまったからです。
暑さは呼吸を苦しくします。
吸っている息の温度が普段より高いせいもあるし、また、体内の「換気」を頻繁にしないと熱がこもってしまうため、負担がかかるせいでもあります。
この呼吸器の疲労は、胸を閉じる姿勢を作り、背中の上部の背骨を後ろの方に飛び出させてしまうことになります。
また、夏は大量の汗を出しますから、その汗の製造に関わる腎臓の仕事も増えます。
水を大量にがぶ飲みしている人も、腎臓に負担がかかっています。
もちろんビールもです(笑)
暑さによる寝不足なども腎臓の疲れの回復を遅らせます。
この腎臓の疲労は腰の上部を後ろ〜下の方に下げるような姿勢を作ります。
これらの重みが、腰椎の一番下である「腰椎5番」にかかってくるわけですね。
しかしまだ「耐えている状態」のうちは、痛みなどをあまり感じません。
ただ何となく腰が重く、動く気がしなくなってくる程度です。
しかしこの固くなった腰椎5番の負担を、やがてそのさらに上にある「腰椎1番」が肩代わりすることになってしまうと重症です。
腰の根元、腰椎5番がが固くて動きづらいとはいっても、日々の生活の中で、本当に動かないわけにはいきません。
だから上半身を起こす・反らす働きを持つ腰椎1番が、普段以上にその役割を発揮しなければならなくなるのです。
そこで腰椎1番(実際にはその前後、腰椎2番や胸椎12番など)にも負担がかかり、この辺が固く緊張してきます。
こういう現象が夏の後半には起こりやすく、この状態が続くと、やがて腰痛という症状として表面化してきます。
腰を通り越してさらに下、お尻の当りに痛みを感じる人もいれば、さらに重症の人は股関節や膝といった、下のほうにどんどん痛みが進行していく場合もあります。
これらの現象は、夏の後半から秋にかけて、だいたいお盆頃から少しずつ増え始めます。
腰が痛い、お尻や脚が痛いということで、「座骨神経痛」などといった症状名がつけられ、その坐骨(お尻のあたり)のマッサージや各種施術がその緩和法として用いられることが多いですが、実はこういう症状の背景には、上記のような流れがあるのです。
しかも、それは腰の根元だけではなくて、その肩代わりをしている腰椎1番もしっかり見ておかなければならないし、さらにはその背後にある腎臓、呼吸器などの疲労というものにも着目しなければなりません。
つまり、はっきりと症状として現れた頃にはすでに重症、ということが言えます。
早めに体は整えておいたほうがいいですね。