よく治療院の広告などで「背骨の歪みは万病の元」などと書かれていますが、確かに背骨というのは、内臓や筋肉の働きなどに関係しているものです。
さらに、背骨は心理的な面にまで影響しているもので、その人の『性格』の構成にまで大きく関わっているのです。
人の背骨は、『頸椎』、『胸椎』、そして5つの『腰椎』で構成されています。
中でも土台部分である腰椎の持つ影響力は大きく、この5つにはそれぞれの役割が当てはめられているのです。
一番上にあるのが腰椎1番ですが、1番は大脳の働きと密接につながっています。
従って腰椎1番は頭脳の働き、つまり理論的思考とか、思慮深さといった性格の側面を担っているというわけです。
その下にある腰椎2番は腹部(消化器)との繋がりが深いのですが、「腹が立つ」とか、「腹を抱えて笑う」というような、喜怒哀楽の感情面と繋がりが深い背骨です。
腰椎3番は「闘争心」を司る背骨です。
負けたくない・克服したい・・・というような負けん気や忍耐力。
3番は体の捻り運動の土台となる骨ですが、勝負を挑むときは誰でも無意識に体を捻ります。
腰椎4番は骨盤、生殖器に関わりの深い背骨です。
「性」の前提にあるのが「愛情」ですが、男女の愛のみならず、親子の愛情、あるいは人類愛といったものまで、愛情の働きに関わるのが4番です。
腰椎5番は呼吸器と足腰の動きに関係しますが、活発な呼吸と足の動きは「行動力」につながります。
つまり5番は行動力と行動の背景にある分析力・計画力に関わる背骨です。
こうして見てみると、個々の腰椎には明確な役割分担があり、これらの組み合わせによって、一人の人間の性格が出来上がっていることがわかります。
たとえば、あまり行動的ではなく、考えることばかりが得意な人というのは、腰椎5番の働きが弱く、1番の働きが旺盛である、ということになります。
冷静に考えることが苦手で、すぐ感情的になって泣き出してしまうような人は、腰椎1番の働きが弱く、2番の働きが強い、ということになります。
逆に腰椎2番が弱くて1番が強い人は、感情を無視して理屈だけで突き進む、という傾向があるわけです。
これは実際、整体のプロが背骨を調べてみるとわかることで、やはり感情的な人は腰椎2番に独特の感触があり、理論的な人には1番に独特の感触があります。
実はこのバランスは、生まれつきある程度決まっているのです。
生まれつき、1番に最も力(重心)がかかっている人、2番にかかっている人…というように。
だから何となく、同じ腰椎に重心がかかっている人同士は似ているのです。
たとえば腰椎3番に重心がかかっている人は皆、体が捻れ気味で、体を斜めにして座り、よく人とケンカをし、言うことが大きく、声も大きめです。
このように、人間は皆、生まれつきの体の構造というレベルで、逃れられない『性格の違い』を持っています。
たとえ親子であっても、重心の位置が違えば考え方も違うし、快・不快の基準も違うのです。
たとえば腰椎1番のタイプの人は、先々の見通しを立てないと行動ができません。
仕事をするのにも、ちゃんと結果のシミュレーションが出来ていないと取りかかれないのです。
ところが、腰椎5番タイプの人は、まずは取りかかってみないと先々が考えられないのです。
だから5番タイプの部下が、1番タイプの上司に「計画の重要性」を訴えられてもピンとこない。
1番タイプの息子が、5番タイプの親にチャレンジ精神の大切さを押しつけられても伝わりにくいのです。
そして伝えたことを理解できない部下や息子を見て、その上司や親は「こいつ、頭が悪いんじゃないのか?」なんていうふうに思ってしまうのです。
この個性の本質を本格的に理解するのは、少々難しいのですが、ともかくその顔形が違うのと同じように、自分とは違った価値観、リズム、行動パターンといったものが、一人一人の身体に強く刻み込まれているのだということを理解して頂ければ、必要以上に相手を傷つけたり、差別したりすることも減っていくはずだと思うのです。
ちなみに、この体の違いと性格の違いを徹底的に調査し、体系化されたものが、整体法に伝わる『体癖論』です。
心の癖・体の癖(体癖)については『心の癖・体の癖』PDFテキストでさらに詳しく説明しています。