当塾では、体・心の変化と季節の変化の関係性を重要視し、いろんな場で紹介しておりますが、2回にわたり、一年分を大きくまとめてみたいと思います。
冬の寒い時期を一日に例えると、夜です。
人の一生に例えると、終末期、或いは死後の世界(?)といえるかもしれませんね。
ただ、また春がやってきますから、誕生前、或いは前世と今生、今生と来世の間・・・なんだか怪しい話になってまいりました。
いずれにせよ、活発に動き回る時期ではないですね。
多くの動物達は穴にこもって丸くなり、冬眠しています。
冬眠しない人間も、体を固く閉ざしている点は同じです。
引き締まりが強い季節です。
頭や骨盤に、その引き締まりが目立ちます。
頭の引き締まりというのは、眉間にしわをよせたような状態、或いは頭に鉢巻きを巻いたような状態です。つまり、頭が少々過敏になる季節です。
人間は頭が働いているから冬眠しないのかもしれませんが、いずれにしても、冬は行動的になるよりも、思索的、悪く言えば神経質になる季節と言えるでしょう。
空気も乾燥し、目、鼻、口の粘膜がその影響を受けます。
この刺激も頭部で受けていますから、余計に頭が過敏になります。
だから冬は、乾燥と頭や目の疲れに気をつける必要があります。
こうした冬の引き締まりは、春を前にゆるみ始めます。
一般的に春とは3~5月頃を指しますが、ゆるみの兆候は1月頃から始まります。
そのゆるみがスムーズにいかないと、体は様々な手段を講じて、体の中の引っ掛かり、硬直をほぐそうとします。
風邪、頭や首の痛み、鼻水、くしゃみ、涙目などの症状が出やすくなりますが、これらは特に頭の硬直をほぐすのに有効な症状です。
そして春には体の土台である骨盤がゆるまないといけません。
骨盤のゆるみが悪い人は、腰や股関節などの症状を通して、その動きをスムーズにしようという働きが起こります。
春を人の一生に例えると誕生の時期です。
一日に例えると目覚めの朝。
つまり動き初めの時期、植物でいうと芽生えの時期です。
体の引き締まりが解け、土台である骨盤が動き出すことで、私達の体にも目覚めが、芽生えが起こる時期。
この時期まで冬の乾燥や神経の疲れを引きずっていると、なかなか気分よく動き出せません。
それでは困るので、春の初め頃から先述したような様々な症状が起こり、何とかして冬の硬直を抜こうとしているのです。
動き出しの時期といっても、目覚めてすぐは活発に動けないものです。
春先はまだ「慣らし」の時期、まだゆるみの最中です。
だから、春にはなんだか頭がポカンとするような感覚があるのです。
むしろそういう感覚を味わうことで骨盤もゆるみ、動きのよい体を準備していくわけです。
だから春は「行動の季節」というよりも、「夢見る季節」というわけです。
春のゆるみというのは、ただ単に力が抜けることではありません。
緊張がほぐれるというだけであって、体の芯の力まで抜けてしまうわけではありません。
むしろ春の後半から初夏にかけては、体の中心、腰のバネが出てきて、体は行動的になります。
そのためには、土台である骨盤の弾力も必要です。
だから春のゆるみは、その後の「行動の季節」である初夏や、息苦しい梅雨を切り抜ける体を育てていく上でも大切なんです。 (続く)