集中力とこだわり

「うちの子は、集中力がないんです」という話をよく聞くんですが、本当はそんな子はいないはずなんです。

集中力は鍛えれば誰でも身に付いてくるものです。

 

子供の集中力というのは、実際に何か興味のあるものに徹底的に集中する、という体験によって養われます。

大人も基本的に一緒ですが、やはり集中力のある人間になるには、子供のうちにそういう経験をしっかりとしておくのが一番ですよね。

 

というよりも、元来ほとんどの子供が、何か一つのことに集中したがる傾向を持っているものです。

同じ遊びばかり繰り返したり、大人の目線で見れば全く意味の分からないことを、一生懸命に続けてみたり。

ものすごいこだわりを持つ時期というのが、特に小学生低学年までの間には度々あるはずです。

 

それは、赤ちゃんが歩き始める前に、ハイハイをして足腰を鍛えるように、言葉を覚え始める前に「喃語」を発し続けて声帯や言語中枢を鍛えるように、集中力を発育させるための本能的な準備だと思うのです。

 

そういえば、私は小学校低学年のころに、やたらと日本地図ばかり見ていた時期がありました。

だけどなぜか、地図に書かれている「半島」だけにしか興味がなかったんです。

毎日見ていたので、都道府県名ぐらいは知らないうちに覚えていましたが、それでも山の名前とか、川の名前とか、そういうのは全く見ていませんでした。

 

とにかく半島だけ。

あと、半島によって形成されている湾の名前も少々・・・でもこれも、半島ありき(笑)の話。

ともかく、学校の授業で使う地図帳に書かれている半島の名前は、すぐに全部覚えてしまいました。

 

それで、能登半島はスラーッとしててカッコいいなぁ(笑)とか、
それに比べて房総半島は少しブヨッとしてるとか、
紀伊半島は大きすぎて、あれはもはや半島じゃないだろ!とか・・・

そんなことを思っていたわけです。

 

でもそれでは飽き足らず、兄が持っていた高学年用の地図帳を見せてもらい、低学年用には載っていない小さな半島を見つけては、興奮していたのでした。

一応、世界地図も見ながら半島を探して見ましたが、何故か日本の半島ほど興味は持てませんでした。

 

なぜ半島だったのか、しかもなぜ日本の半島じゃなきゃだめだったのか、その理由は全くわかりません。

でも、まったく理由のわからないそのこだわりによって、少なからず私は集中して物事を調べる・覚えるというトレーニングを、楽しく行うことが出来たわけです。

もちろん「トレーニング」だなんていう意識も持たず、ただ無我夢中で。

 

「半島を覚える」というのなら、少しは後々の社会科の勉強に役立つ、なんていうことを、大人は考えるかも知れません。

だけど、そういう問題ではないんです。

アニメのキャラクターを覚えるのでも、海外のサッカーチームの選手名を全部覚えるのでも、全て同じことなんです。

 

何かに夢中になるということ、しかも自発的に、ということに意味があるんです。

 

ところで、子供でも、大人でもそうですが、こういった一つのことへのこだわりが、とりわけ強いタイプの人がいます。

それは、「心の癖・体の癖(体癖)」でいう、「開閉型・9種」というタイプの人です。

 

このタイプの人の集中力とこだわりは、他のタイプの人とは比べ物にならないほど強いです。

だから、周りから見れば少々不思議、あるいは不気味に思えるこだわりを見せることもあります。

どうしても、「いい加減」にできない、後回しに出来ない、譲れない・・・

そして、自分の中で納得がいくまで続けないと気が済まない。

 

でもこういうタイプの子供の場合でも、本来なら、本人が納得いくまでやらせてあげる機会が多いほうがいい。

 

だけど幼稚園、保育園、学校などでは、どうしても途中で中断させられる機会が多くなります。

これはもちろん仕方ないことではありますが、その度に、その子の中では不満が残り、蓄積されていきます。

だからせめて、家にいる時には『やり遂げた満足感』を味わう機会を増やしてあげたほうがいいでしょう。

その満足感を知らないが故に、逆に中断させられることへの恐怖心ばかりが強くなり、より一層意固地に、こだわりが強くなってしまう傾向もあるようです。

 

大人が社会で生きていく場合はもちろん、自分のこだわりだけを追求していくわけにはいきません。

だから大人の場合は、自分にはそういう「癖・個性」があることを知り、必要に応じて他者との強調を図る努力も必要でしょう。

 

だけどやはりそのためには、そうした「癖・個性の違い」が明確にあるんだという「知識」「認識」をしっかり持つ事が必要だと思うんです。

 

これはどんなタイプの人にも言えることです。

自分の「個性」を客観的に知ること。

そして親子であっても、他の人とはその個性がハッキリと違うということ。

他人を、自分の個性の枠に無理矢理押し込まないこと。

その知識のガイドラインとして、当塾では「心の癖・体の癖」ということを、ずっとお伝えしているわけです。

詳しいことは、CD&テキスト、または講座DVDをご覧になって、そして自分自身や回りの人をよく観察してみてください。

 

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