腰の悪い人に、「原因は筋力の低下でしょうか?」「腹筋が弱いからでしょうか?」と尋ねられることが度々あります。
テレビなどで「腰痛の原因は腹筋値からの低下だ」ということががよく言われていた時期がありました。
今ではもう、メディアからそういう情報が流れてくるようなことは少ないようですが、未だにそれを信じている治療家もいるようで、患者さんに「腹筋を鍛えなさい」なんてことを言っているそうです。
また、腹筋だけではだめで、背筋も鍛えてバランスを整えないとダメだ、なんていう人もいます。
しかし残念ながら、腹筋・背筋を鍛えても腰痛はほとんどよくなりません。
徹底的に腹筋を鍛えたアスリートでさえも、慢性的な腰痛で悩んでいる人が多いようです。
一般的に言う「腹筋」とは、主に「腹直筋」のことです。
お腹の表面のほうにある筋肉で、ろっ骨と骨盤につながっています。
鍛えると「腹筋が割れる」とか「板チョコのようになる」なんて言いますね。 その筋肉のことです。
この筋肉は、もちろん体を曲げたりする動きにも関わるのですが、一方ではろっ骨の動き、骨盤の動きにも関係してきます。
ろっ骨に関係するということは、呼吸器に影響するということです。
骨盤に関係するということは、特に女性の生理に大きく影響するということです。
それから、腹圧に影響し、内蔵(特に消化器)の働きにも影響します。
しかし、最も大きく腹筋が影響するのは、実は「感情」だと当塾では考えているんです。
筋肉が「感情」という精神状態に影響しているなんて、普通は考えられないかもしれないですね。
人は笑う時に、腹筋を使います。
特に腹の底から笑う時には、大きくお腹の筋肉が動きます。
大爆笑を続けていると、「腹が痛くなる」といいますよね。
本当に痛くなりますし、あまりに激しく笑いすぎて腹筋がつる、なんていうこともあります。
また、それほどの爆笑をすると、咳き込んでしまう人もいますが、これは腹筋がろっ骨につながり、呼吸器に影響しているからでもあります。
(ろっ骨の下部にあって呼吸の働きを大きく司る横隔膜も、腹筋の影響を受けます。)
また逆に、泣くときも腹筋を使うのです。
肩を震わせたり、ヒクヒクとしゃっくりをするように泣くような体の動きは、腹筋を断続的に緊張させて発生するのです。
これも、あまりひどく泣いていると咳き込んだり、呼吸が激しく乱れたりします。
怒っている時や恐がっている時も、同じように腹筋を緊張させています。
しかし、最も緊張させている時は、それらの感情を我慢して抑え込んでいる時なんです。
感情を表現している時の腹筋は、まだ動きがあるんです。
無意識のうちに腹筋が動いて、それが笑ったり泣いたりという「動作」に現れるのです。
だから思う存分泣いたり笑ったりしたあとは、腹筋がたっぷり動いて、まるでマッサージをされた後のように柔らかくなっているのです。
しかし、その腹筋の動きを抑え込むには、笑ったり泣いたりする時の何倍もの力を腹筋に込め続けなければなりません。
当然それが続けば、腹筋は緊張しっぱなしになります。
実は、腰痛をはじめ、様々な身体の問題を抱えている人には、腹筋の緊張が抜けていない人が非常に多いのです。
だから当塾の整体では、必ずお腹をみます。
まさか本人は、毎日泣いたり笑ったりを我慢しているつもりなどないでしょう。
でも実際には、常に自分の感情を押さえ込んでいる人というのはとても多いんです。
自分でも気づかないうちにです。
自分の意見や自分の希望、自分の好き嫌い、そういうものを出来るだけ表に出さないで過ごしている人にも多いです。
今抱えている不安や不満を、無理矢理ポジティブな考え方に置き換えている、なんていう人もお腹が固いです。
いつも笑顔で明るく、周りの人とは和やかに・・・と、意識して笑顔を作っている人にも、お腹の固い人は案外多いです。
どんな時でも「感謝」の気持ちを忘れずに、生かされている喜びを意識しながら過ごしている・・・なんていう人にも多いです。
毎日欠かさず瞑想と呼吸法をして、一生懸命心と体のバランスを整えています・・・という人にも多いです。
例を挙げたらきりがありませんが、ともかくそうやって腹筋を固くしていると、腹筋に繋がる骨盤、そしてろっ骨の動きもおかしくなります。
だから生理痛がひどいとか、生理の周期がおかしいという人には、腹筋の固い人が多いのです。
喘息など、呼吸器を悪くしている人にも腹筋の固い人が多いです。
つまりこれらの背後には、「感情の抑圧」があるということが言えます。
不思議なことに、腹筋をうまくゆるめていくと、思わず感情が溢れ出て来ることがあります。
実際に、整体の最中に泣き始めたり、誰にも言ったことのない不満を吐き出し始めたりする人もいます。
でもそういう人は、まだゆるみやすいタイプのほうで、本当に頑固な人はお腹をゆるめること自体を拒むかのように、お腹に触られるだけで逆に力を入れてしまう、なんていうこともあります。
もっと頑固な人は、お腹を触らせまいと常に手でお腹をガードしていたり、普段からお腹を引っ込めるような姿勢を取っていることもあります。
ちなみに、腰痛と腹筋の関係でいえば、腰痛を抱えている人は、必ず腹筋を固くしています。
特にその緊張がどこかに偏っている場合が多いのですが、それを適度にゆるめていくと、痛みが緩和する傾向があります。
(ただし、根本的な原因は別の所にある場合が多いです。)
※腰を支える力は、背骨に直接繋がっている深部の筋肉や、お尻、内股などの筋肉のほうが大きな役割を担っています。
これらの鍛錬法については諸説ありますが、当塾では「体操教室」あるいは「整体法講座」の中で随時指導していますので、詳しくはそちらで学んでください。
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