「体の歪み」というものが気になっている人は多いと思うんですが、実は、目に見えるようなわかりやすい歪みというのは、あまり深刻な問題ではない場合も多いんです。
たとえば「左右の足の長さが違う」とか、「左右の肩の高さが違う」とか、「写真をとると首が左右どちらかに傾いている」とか。
こういう素人さんでもわかる左右差というのは誰にでもあるものです。
そして、その左右差が病気や痛みの根本的な原因であることは滅多にありません。
何かもっと深い原因があって、その結果左右差が表れていることもありますし、その左右差自体、全く気にするに値しない場合も非常に多いです。
大事なのは、表面にはなかなか表れないような部分的な歪みや硬直だったり、さらにそれらを起こしている肉体的、あるいは心理的な要因を突き詰めていくことです。
これは専門家の役目だと思います。
表面には表れないものですし、自分自身ではなかなか気づくことができません。
だから、専門家の人が「足の長さが違いますから、骨盤が歪んでますね」「肩の高さが違いますから、背骨が歪んでますね」などと素人のようなことを言っていてはダメなんです。
その程度の歪みしか見分けられないようではいけない、私はそう思います。
こういうことは、心理面でも全く同じです。
たとえば「ストレス」というもの。 ストレスは心を痛めつけ、体にもそれが表れます。
ほとんどの心身の問題の原因になっていると言っていいでしょう。
だけど、目に見えるような分かりやすいストレスというのは、案外時間とともに薄れたり、気晴らしをすれば消えてしまうものも多いです。
たとえば、会社で上司に理不尽な怒られ方をしたとか、夫婦喧嘩をして嫌な気分になった・・・とか。
そういう、原因がはっきりとしている、自覚できるストレスのことです。
もちろんこれらも充分心身を苦しめる要因となりますし、また、長期間に渡って続くことで深刻な問題にもなりかねません。
だけど、本当に厄介なストレスというのは、こういうものではないんです。
本人が全く気づいていないストレスです。
「ストレス」っていうのは、感じているからストレスなんだろう?と思われるかもしれませんが、意識で感じているかどうかは別なんです。
というよりも、感じているけど、感じていないフリをすることができてしまうんです。
嫌なのに嫌じゃないフリをしたり、逆に好きでもないのに好きなフリをしたり、本当は別の考えを持っているのに誰かの考えに合わせたり・・・
要するに、自分を騙していること、本当の自分ではなく他人(や社会)の価値観で生きていること・・・・といったことのほうが、実は大きなストレスになっているんです。
一言で言えば、自分を殺していることです。
ところがこういうことは、本当になかなか気づくことができません。
自分を殺すことが当たり前になっている人は、そもそも本当の自分なんていうものを感じることさえ忘れてしまっているんです。
そればかりか、本当の自分を取り戻すこと自体に恐怖感を覚えてしまいます。
人のいいなりになって生きることに慣れてしまっていると、そのほうが楽に思えてしまうんです。
もちろん「いいなりになっている」なんていう自覚はありません。
「自分は自分」、そう思っているつもりなんです。
それで満足なら、別にゴチャゴチャ他人に言われる筋合いもないんですが、それでも深層心理はそれで満足していないんです。
そういう自分に、とても疲れ果てているんです。
病気というのは、そういう深層心理(潜在意識)の訴えであることがとても多いんです。
体は、意識よりも潜在意識のほうに繋がっています。
『病は気から』『体と心は一つ』というのは、本当はそういう意味なんです。
表面的な気持ちの変化で病気になったり、病気が治ったりするわけではありません。
特に子どもの場合は、限りなく本当の自分そのものに近い心を持っていますから、それを抑えられる度によく体を壊します。
しかし抑えられることがあまり頻繁に繰り返されてしまうと、その抑える力、つまり本当の自分ではない自分のほうが鍛えられてしまいます。
言い換えると、『心の壁』です。
そうして鍛えられた心の壁のことを、「我慢強さ」「精神的な強さ」などと勘違いしている大人も非常に多いように思います。
しかし、その壁の強度には限界があるんです。
いつか必ず壊れます。
そして本当に壊れた時には、いままで抑えられ、圧縮されていたものが一気に爆発してしまいます。
だから、一気に壊れる前に、少しずつその壁を剥がしていって、「ガス抜き」をしていかなければなりません。
体や心を整えるというのは、本来そういう作業のことなんだと考えています。
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