頭の緊張と精神統一、瞑想

精神統一とか瞑想とか、そういった技法がヨガの中にもたくさんありますが、実際のところ、「精神を統一する」とか、「心を安定させる」というのは、どのようなことなんでしょう?

ただ静かに、目を閉じて座っていれば、精神が統一されるのでしょうか?

ゆっくりと、長い呼吸をくり返していれば、心が安定するのでしょうか?

 

逆に、「心の乱れ」とはどういうものなのでしょう?

焦りとか、不安とか、恐怖心とか、嫉妬とか・・・

 

色々な考え方、理解のしかたがあるかとは思いますが、ここでは簡単に、そして現実的に考えてみたいと思います。

 

実はこれらの「心の乱れ」というものを冷静に見てみると、現実の問題以上に空想をふくらませ、焦ったり、おびえたりしていることも多いんです。

まだ実際に起こっていないことを不安がっていたり、誰かに文句を言われたわけでもないのに人の目を気にしてみたり。

あるいは、過去に失敗したからといって、今回も失敗する…というように、過去を引き合いに出しておびえてみたり。

そして失敗しないように、間違わないように、批判されないように、いつも細心の注意で気を張っている。

だから常に緊張感が抜けないままで過ごしている・・・ このように、頭の中で過去や未来の空想を繰り広げて、結局自分の頭で自分の心を乱している、精神状態を散らかしていることが、とても多いのです。

 

とにかく、特に現代人の頭の中はとても賑やかで、そして暴走しやすいものです。

そんな暴走しやすい頭のままで、じっと座っていたり、ゆっくり呼吸をしてみたり・・・ それだけで、精神の統一や心の安定が得られるのかというと、はっきり言って難しいでしょう。

 

中には「魂の波動が穏やかになって、宇宙と一体になりました…」というようなことを言っているような人も時々みかけますが、よく観察してみると、どうやらそう思い込んでいるだけの人も多いようです。

これでは瞑想どころか、頭の「迷走」、あるいは妄想ですよね。

 

とにかく、頭の忙しい人、心が乱れている人というのは、常に未来や過去のことばかり気にしている、という特徴があります。

本人に自覚がなくても、無意識のうちにそんな癖がついているんです。

つい、目の前にある出来事を、そのままの姿で見ることを忘れてしまいます。  

 

私達人間が、最もリアルに感じられる現実というのは、「体感」です。

例えば、風の冷たさ、切り傷の痛み、食べ物の味・・・

こういった、体で感じられる感覚こそが、最も「今この時」を感じられるものです。

 

いくら明日の予想最低気温が氷点下だと知ったところで、明日の寒さを今感じることはできません。

いくら他人が目の前で切り傷を痛がっていても、自分が同じように感じることはできません。

いくら美味しそうな料理のメニューを見ても、実際に食べる瞬間までは、その味を味わうことができないのです。

 

福井自然体健康塾では基本的に、ただ座って心を整える・・・というようなスタイルの瞑想法を行っていません。

必ず何らかの動作や刺激を感じられるメソッドにこだわっています。

それは、まず体を動かすことによって、体の「感覚」に集中してもらうためです。

体を伸ばしたり、捻ったりした時に得られる「体感」、これをできるだけ深く、じっくりと味わうこと。

頭の中だけの空想ではなく、今実際に、体の中で現実に起こっている感覚に集中すること・・・

 

実は結果的に、これが最も身近な『精神統一』だと考えているからです。

呼吸法も同様です。

ヨガには無数の呼吸法があると言われていますが、当塾では、ごくシンプルな呼吸法を数点紹介するだけに留めています。

そしてその呼吸法も、呼吸と共に起こる体の動き(骨盤の動きとか、胸部の動きとか、腹部の動きとか・・・)に意識を向けて行います。

 

つい、呼吸法とか瞑想法とかを行っていると、それを行っている自分に酔ってしまい、すぐに精神が統一されたかのような勘違いをしてしまう場合があります。

しかし、 体はとても正直ですから、いくら本人が「心が穏やかだ」と言っても、背骨が緊張していれば、それは本当に穏やかな状態ではないのです。

口では「すべてを受け入れる心の余裕ができた」と言っていても、胸を閉ざして腹を固くしていたのでは、本心では「身構えている」のです。

「身体」は、口よりも正直です。

 

ともかく、私達は何事も「体」を通して感じています。

悲しみも、「胸が痛く」なることで感じている、「涙を流す」という身体上の現象によって感じ、そして表現しています。

喜びに胸を踊らせるのも、悔しさではらわたが煮えくり返るのも、恋愛に胸をときめかせるのも、手のぬくもりに安らぎを感じるのも・・・ そしてそれらを、現実として、リアルタイムで体で味わいつくしてこそ、私達はその出来事からいろいろなことを吸収し、心を豊かにしていけるのではないでしょうか。

心を強くするのも、自分に自信をつけるのも、こういうことによって成されるものではないでしょうか。

毎日何時間も座って目を閉じているよりも、まずかこれらをしっかり感じることのほうが、はるかに心を豊かにできるはずです。

とにかく今、実際に感じられる体の感覚を磨いていくこと、これが本当は、心の幅を広げ、安定させていくことにつながる道なのではないでしょうか?

 

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